2014年8月17日 東京夕刊 「消費増税でGDP急減」「年率6・8%減、個人消費落ち込み」「4~6月期」

東京の夕刊に「消費増税でGDP急減」「年率6・8%減、個人消費落ち込み」「4~6月期」が書かれている。

「内閣府が13日発表した2014年4~6月期の国内総生産(GDP,季節調整値)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1・7%減、年率換算で6・8%減と急減し、二・四半期(6カ月)ぶりにマイナス成長に転じた。4月の消費増税で個人消費が前期比5・0%減と落ち込んだほか、住宅投資や設備投資なども減少したことが影響した。個人消費は統計上で比較可能な1994年以来、過去最大の落ち込みとなった。

97年4月に消費税率が5%に引き上げられた際、97年4~6月期の実質GDPは年率3・5%減だった。今回の下げ幅はさらに大きく、増税が日本経済に与えた影響は97年時よりモ大きかったことになる。東日本大震災の影響があった2011年1~3月期の年率6・9%減以来の大幅な落ち込みとなった。民間シンクタンクが事前に予測した平均7・3%減よりは悪くなかった。

実質GDPを項目別にみると、個人消費は7期ぶりにマイナスに転じた。消費税増税を控えた駆け込み需要の反動で自動車販売や家電、日用品や衣服、ガソリンなど幅広い品目が減少。1~3月期の2・0%増から一転し、大きく落ち込んだ。

民間住宅投資は10・3%減で9期ぶりのマイナス。企業の設備投資は2・5%減で5期ぶりに減少した。公共投資も0・5%減と2期連続で減少し、幅広い項目がマイナスとなった。

輸出は0・4%減で3期ぶりのマイナス。生産拠点の海外移転や企業の競争力が低下した影響が出た。輸入は5・6%減で6期ぶりに減少した。企業や個人が買うモノの値段を含めた総合的な物価の指数『GDPデフレ―タ―』は、前年同期と比べプラス2・0%。19期(4年9カ月)ぶりにプラスとなった。

<解説>「再増税方針に影響も」

4~6月期の国内総生産(GOP)が東日本大震災以来の大幅なマイナスに転じたのは、4月の消費税増税で個人消費が過去最大の落ち込みとなったことが原因だ。政府は4月以降の個人消費の反動減を『想定内』と平静を装うが、実質賃金の前年割れが続く家計は増税のショックに耐えようと財布のひもを固くしている。消費税増税が景気をいかに失速させるかを裏付けた今回のGDPは、政府が来年10月に想定する消費税10%への再増税の悪影響も想起させる。

増税直前の1~3月期実質GDPは、駆け込み需要で年率換算6・1%増と大きな伸びを示していたが、4~6月期は6・8%減と下げ幅が勝った。増税後の反動減が直近の成長を打ち消したのは間違いない。

消費税の再増税に向けた次の焦点は、7~9月期の実質GDP統計に移る。安倍晋三首相が年末に消費税率を10%に引き上げるかどうかの判断材料になるからだ。

だが、夏以降の景気には暗雲が漂う。厚生労働省によると、6月の実質賃金指数は3・8%減で、賃上げが物価上昇に追いついていない。この傾向は今後も続く見通しで、今年後半の消費回復を見込むことは難しい。輸出も減少し、企業の生産も盛りあがらない。みずほ証券の上野泰也氏は『7~9月期に景気が上向く力が弱いと、安倍首相が増税を先送りする可能性が高くなる』と指摘している」。

甘利経済財政担当相は、13日の記者会見で「1~3月期と4~6月期を平均すると昨年10~12月期の水準を上回る。駆け込み需要の反動は和らぎつつあり、緩やかな景気回復が進むと見込まれる」「必要と判断される場合は機動的に対応する」と語ったが、甘すぎる。GDP年率換算6・8%減は、97年増税時の4~6月期3・5%減を大幅に上回る景気の冷え込みを示しているからである。特に個人消費の前期比5・0%減は、97年4~6月期の3・5%減を超え94年以降過去最大の落ち込みとなったことである。

問題は、個人消費の落ち込みの理由である。駆け込み需要の反動減だけではなく、実質賃金のマイナスが主因であることだ。物価上昇に賃上げが追いつかす厚労省によると6月の実質賃金指数は3・8%減となっている。実質賃金がプラスに転じない限り、個人消費は大幅プラスにならない。7~9月期のV字回復は期待できないとなる。消費税再増税は先送りし、緊急の景気回復てこ入れ策を発動すべきである。7~9月期のGDP速報値発表の11月まで待つ余裕などない

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