2014年5月7日 朝日「集団的自衛権、『政府方針』に」「首相意向、内閣の了解経ず」

朝日に「集団的自衛権、『政府方針』に」「首相意向、内閣の了解経ず」が書かれている。

「安倍晋三首相は、他国を守るために武力を使う集団的自衛権の行使容認を、憲法解釈変更の見解をまとめる『政府方針』に明記する方針を固めた。実態は内閣全体の了解を得ない『首相見解』だ。首相がこのタイミングで『政府方針』と銘打って自らの見解を出すのは、閣議決定で『集団的自衛権』の明記は譲らない、という考えをはっきり示す狙いがある。

首相はこの方針をもとに与党との協議に入り、6月22日が会期末の今国会中に行使容認の閣議決定を目指す。しかし、公明党は行使容認に強く反対している。閣議決定の文書に『集団的自衛権』の言葉が含まれること自体にも反対だ。今後、首相と公明党との対立が激しくなるのは間違いない。

安倍首相の私的諮問機関『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)』は、大型連休明けの5月中旬にも、首相の意向に沿った内容の報告書を発表。その後、首相は間を置かずに自公両党に『政府方針』を示す考えだ。その中で、首相は『必要最小限度』の自衛権に集団的自衛権の一部が含まれる、などとする憲法解釈の変更を打ち出す方針だ。

<都合良く解釈変更の恐れ>
《解説》安倍首相は集団的自衛権の行使容認を、憲法改正ではなく、憲法解釈の変更で行おうとしている。ときの政権が憲法解釈を都合良く変える前例を作ることになる深刻な問題だ。

太田昭宏国土交通相が所属する公明党は行使容認に反対の姿勢を崩していない。全閣僚が賛成しているわけではなく、政府全体の合意でもない。首相側はこの『方針』を今後の閣議決定の原案と位置づける。首相が妥協しない強い姿勢を示したことで、連立を組む公明党は政権から離脱しない限り追随せざるを得ない状況に追い込まれるだろう。

そのような状況で、多くの問題をはらむ憲法解釈変更への議論が、与党内で深まるだろうか。『平和主義』は憲法の根幹であり、他国の戦争に巻き込まれることを防いできた。それを首相の一存で変えることにならないか。強く懸念せざるを得ない」。

安倍首相は、集団的自衛権行使用容認の今国会中の閣議決定を目指す方針を固めたが、太田国土交通相が賛成するか、である。公明党の連立離脱もある重大事となる。それでも安倍首相は押し切る覚悟を固めたのである

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