2025年6月1日 令和の米騒動

小泉農水大臣を通じ石破政権は備蓄米の方式を大転換した。競争入札から随意契約により直接販売者に届けられる。また価格も店頭価格2000円との数字もインパクトを与え、高騰したコメ価格に刺激を与える一定の効果はあるだろう。
小泉農水相は会見で「これまでの方法では国民の皆様の期待に応えられない、政治決断で決めた」と述べている。

大きく転換したのは過去に於いて、競争入札により予想を超えての高値入札があり備蓄米3回の放出でも価格が下がらなかった反省も踏まえての事であろう。
前回の競争入札で9割超を落札したJA全農は約20万トンを落札したが卸売りには約10万トンに留まっている。卸売り業者側も通常利益の倍のコストをのせ備蓄米を販売していた事も農水省の調査で判明している。

その反省からも、今回は卸売り業者を介さず直接小売りに卸した次第であった。
消費者としては価格が安くなることに反対は無いが、限られた量の備蓄米が全て放出された後はどうなるのか、不透明な不安感は残る。
一方、農家の生産者の立場になれば、米価格が下がると今迄ですら高齢化やコスト高の影響で離農する方々を加速させないかの心配がある。

今回の施策でどの程度全体の米価格は下がるのだろうか。流通業界などからは懐疑的な意見もあるようだ。限りある備蓄米に消費者が殺到している様子は連日伝えられているが、国民全体に行き渡る訳も無く、在庫が尽きれば従来の価格の物しか選択肢は無くなる。この件に対して石破首相は「非常にスピーディーな対応だった。消費者の方々の不安が払拭される事を期待している」と述べている。

一方自民党内幹部や農林族からは否定的な意見も出ており、JA全農の対応等様々な懸念事項は残る。前大臣の失言に始まったドタバタにより唯一功を奏したのはコメ政策に対して国民の関心が集まった事であろう。参議院選挙を前にして有権者の関心が出てきた農業政策、食料安全保障の観点からも世論を背景に農業政策全般の見直しをしていく良いチャンスであると思う。

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