2022年7月16日 安倍元総理後の政界バランス

参議院選挙の結果が分かり岸田首相は一定の議席を確保した政権運営に入る自民党最大派閥のトップが凶弾に倒れた衝撃的な事件により、新たなバランスを保つ事が急務であろう。自民党が単独で改選過半数を確保した今般の選挙後、11日に会見を開き安倍元総理に向けた言葉として「卓越したリーダーシップと行動力をもってこの国を導いてきた」とたたえて、次の世代に引き継いで行かなければならないと、安倍政治を継承していく事を強調した。岸田首相の心の内には、党内最大派閥を率いて保守色の濃い議員も多く、与党内での安倍元総理の存在感の大きさに対して影響力を考えての発言であろう。また、安倍派内に於いても、安倍元総理を中心軸に大人数の纏まりがとれていた事もあり、今後のリーダーを誰に託すかを含め、不安定要因が出てくる。

安倍元総理は参議院選挙後を見据え、「憲法改正」「アベノミクスの経済路線継続」を主張してきた。高市早苗政調会長も(安倍元総理がともした保守の灯は守り続けたい)とのコメントをしている。岸田首相は安定政権を築く為には、今後予定される内閣改造及び党役員人事の際に安倍派の処遇にはかなり気を揉むであろう。一方安倍派内に於いても、安倍元総理の存在感故、衆目一致する後継者がいないのが実情だ。岸田首相としても安倍派内のコンセンサスを見極めたうえでの対応とならざるおえない。

安倍派の中には今後、権力闘争になりかねないとの懸念も漏れ聞こえる。安倍元総理は生前、派閥の後継者候補として、下村博文前政調会長、松野博一官房長官、西村康弘前経済再生大臣、萩生田光一経済産業大臣の名前をあげた事もあったが大所帯を纏めるには役不足であろう。その様な中、まとめ役として森喜朗元首相や菅義偉前首相の活躍の呼び声も出ているようだ。イメージは昭和の時代に戻っていく感もあるが、ウクライナ問題、円安、物価高、まだ終息とは言えないコロナ感染症対策、等々難局にある我国の政治の安定を望むところであります。

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