小さな場から考えるフラクタル(自己相似)な政治について

2014年5月11日 中村真広 - 代表取締役 -
自分のデスクの足元に、お菓子の包装紙のようなゴミが落ちている。自分のものかどうかは分からないが、とりあえず拾ってゴミ箱に入れる。自分の身の回りは快適にしていたいという、自然な想いからの行動である。

ここはco-ba shibuya。僕達の会社が運営するシェアードワークプレイス。自分のデスクもここにある。3年前、株式会社ツクルバという空間プロデュースの会社を共同創業した。その会社の自社事業として1つ目につくったのが、co-ba shibuyaである。フリーランスのデザイナー・エンジニアや、組織に属しながら起業準備をしている人、スタートアップとして自社サービスを開発している小規模チームなどが、この場所を拠点として使っている。オープンして数年、場所を共有するのはもちろん、様々な業種・働き方が混在し、ときには入居者同士で協働するワーキングコミュニティが育ってきた。

サービスとして与えられた環境をただ利用するだけではなく、自分自身が関わることで身の回りの環境を変えていく。僕ら運営側はそういうスタンスを掲げ、co-ba会員さんとともに場をつくってきた。小さな場における、小さな自治の実験である。

ところで。冬の暗い色のコートに雪が優しく舞い降りると、肉眼でも結晶が見えることがあるが、その自然の造形には今でもハッとさせられる。部分と全体が自己相似の関係でつくられているものを、フラクタルな構造と呼ぶのだそうだ。このような自然の造形美が見られるのは雪の結晶だけではなく、よく見ると海岸線や木のかたちにも同じような構造が見られるという。

「政治」という概念にも、雪の結晶と同じくフラクタルな構造を見いだしてみよう、というのが僕の考え方だ。co-ba shibuyaという小さな場における小さな自治。そして、渋谷の街、渋谷区、東京、日本・・・。自分が関わる環境を同心円に並べてみたとき、「政治」という大きな言葉と小さな自治の間には、フラクタルな関係性があるのだと思う。まずはそれぞれが等身大の自分で把握できる環境に対して、より良くしようと関わること。その小さな自治に対するアクションが自己相似を繰り返すことで、大きな「政治」が形作られると信じている。
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