2015年3月11日 朝日社説「日本とドイツ」「国際秩序強化へ協働を」

「東アジアの冷戦終焉を」

朝日の社説に「日本とドイツ」「国際秩序強化へ協働を」が書かれている。

「ドイツという国に親しみを覚える人は少なくない。歴史、芸術や文化、あらゆる意味で、この国は日本にゆかりが深い。メルケル首相が7年ぶりに来日した。朝日新聞本社での講演は、両国の結びつきの深さと、協力の大切さを再認識させた。

権力分立、人権、市場経済の浸透……。共通点を講演で列挙した首相は、いまの繁栄と平和を両国が得た理由として『輸出国として、グローバル経済に支えられている』点を挙げた。

確かに、日本とドイツ(旧西独)は、冷戦下の西側秩序の安定のなかで戦後の復興から世界有数の経済大国へ駆け上った。近年のグローバル化時代がもたらした世界市場の拡大の中でも大きな存在感を示している。

同時にこの70年間に日独は平和国家としての信頼を獲得し、豊かな市民社会を築き上げた。

だが、安定を支えてきた国際秩序が失われれば、繁栄も平和も即座に足場を失う。首相が共通の責務として、国際法を守る環境づくりの役割を挙げたことを重く受けとめたい。

ドイツはウクライナ問題の収拾に力を注いでいる。それが国際秩序の行方を握ると考えるからだ。日本にとっては、中国の海洋進出とどう向き合い、日中韓を含む東アジアの安定化をどう図るかが、喫緊の問題だ。

前世紀に無謀な戦争を起こし、敗戦国として再出発した両国が21世紀のいま、国際秩序を守る重い責任を担っている。その呼びかけは、これからの平和国家のあり方を考えさせる問いかけでもある。

もちろん、国際政治は正義と理念だけで動くわけではない。メルケル氏が長く訪日をしないまま中国との往来を重ねた背景には、中国という巨大市場の魅力があったことも確かだろう。

日独間で進路が逆にみえる問題もある。エネルギー問題で、ドイツは安全を最優先して原発全廃に踏み切った。経済では、ドイツは財政規律を重んじ、日本は景気浮揚に力点を置く。

この違いは何に由来するのか。互いに学びつつ国際秩序の強化に手を携えていきたい。ロシアと中国という大国問題だけでなく、欧州にはイラン、アジアには北朝鮮の核問題が横たわっている。紛争防止や核不拡散といった地道な外交努力を要する分野にこそ、両国の平和貢献のかぎがあるはずだ。

『息の長さが重要です。イランに対しても、何年も何回も試みた。諦めてはいけません』。世界と真剣に向き合うメルケル氏の強靭な姿は、日本の若者に強い印象を残したことだろう」。

社説に書いている「ドイツはウクライナ問題の収拾に力を注いでいる。それが国際秩序の行方を握ると考えるからだ。日本にとっては、中国の海洋進出とどう向き合い、日中韓を含む東アジアの安定化をどう図るかが、喫緊の課題だ」は、正論である。

問題は、東アジアでは、未だに冷戦が終わっていないことである。中国共産党、北朝鮮共産党、38度線が健在だからである。喫緊の課題とは、東アジアにおける共産主義との戦いに勝利して、冷戦を終焉させることになる。その責務が安倍首相に課せられている。東西ドイツは1990年10月3日に再統一されたが、朝鮮半島南北統一は未だである。日朝国交正常化がその契機となるが。

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