2014年6月1日 日経「原子力規制委、慎重派ら2人交代へ」「電力、審査前進に期待」

日経に「原子力規制委、慎重派ら2人交代へ」「電力、審査前進に期待」が書かれている。

「政府は27日、9月に任期が切れる原子力規制委員会の委員2人について、交代させる国会同意人事案を衆参両院に示した。地震学者の島崎邦彦(68)、元外交官の大島賢三(71)の両委員に代わり、日本原子力学会の元会長である田中知東京大学教授(64)と地質学者の石渡明東北大学教授(61)を起用する。再任を求める声も出るなか、安全審査に特に厳しい姿勢を貫いてきた委員の交代で、原発の再稼働に向けた審査が前に進むと電力会社は期待する。

2012年9月に発足した規制委は田中俊一委員長(69)を含め5人。任期は5年だが交代時期をずらすため、島崎、大島両委員が9月に任期切れとなる。衆参両院は今回提示された人事案を6月にも議決する運び。菅義偉官房長官は27日の記者会見で『独立性をもって科学的、中立公正な立場から職務を遂行できるベストな人選だ』と述べた。島崎、大島両委員の交代については『(両委員は)今期限りの退任の意向が強かった』と説明した。

『官邸の意向だ』。原子力規制庁幹部は同日、交代に至った経緯についてこう語った。規制委の事務局である規制庁は、九州電力の川内原発などの審査が最終段階に入るタイミングで委員が交代し、判断が変わることを懸念、島崎、大島両委員の再任を求めていた。

退任する見込みとなった島崎委員。原発の地震対策を厳しく求めており、再稼働を目指す電力会社は不満を募らせていた。関西電力は大飯、高浜原発の安全審査を申請したが、10カ月たった今でも再稼働を見通せない。島崎委員が関電の主張にかたくなに反対していたからだ。『もし続投だったら再稼働がもっと遠のいた』(関電幹部)。

島崎委員は活断層を厳しく評価し、いくつかの原発で再稼働に向けた審査が止まっている。再稼働推進派の自民党の議員も『島崎さんの交代で、再稼働に追い風が吹く』と語る。

島崎委員の後任には、日本列島の地質構造や岩石に詳しい石渡氏を充てる。石渡氏は日本地質学会の前会長で、規制委による日本原子力発電敦賀原発の活断層調査の内容を第三者として評価する委員会の座長も務めた。

もう1人退任する大島委員は、東京電力福島第1原発事故後の原子力安全行政などについて国際社会に発信する役回りを担っていた。事故から3年以上が経過、一定の成果が上がったとして後任は原子力工学を専門とする田中知氏に交代する。
田中知氏は国が推進する核燃料サイクルや、核融合、放射性廃棄物などが専門。事故後に日本原子力学会の会長を務めた。学会が立ち上げた原発事故の調査委員会の委員長にも就いた。『毎週のように福島に入り、自分の時間はほとんど持たないほど除染問題などに取り組んでいた』(学会事故調幹事)という」。

原子力規制委員会の慎重派2人が交代する。中でも地震学者の島崎邦彦氏の退任の意味は大きい。原発再稼働が遅れているのは、島崎委員が活断層を厳しく評価しているからである。そもそも40万年前の活断層の有無が再稼働の絶対条件であること自体が非科学的であるからだ。福島第1原発のメルトダウンは。地震ではなく津波によるものだからである。島崎氏の交代で、再稼働が大きく前進するが。

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