2014年5月30日産経 「『公明ペース』焦る自民」「安保与党協議」「事例集の配慮通じず、遅延戦術はまる」が書かれている。
「集団的自衛権行使容認は時間の問題」
産経に「『公明ペース』焦る自民」「安保与党協議」「事例集の配慮通じず、遅延戦術はまる」が書かれている。
「自民、公明両党が27日開いた『安全保障法整備に関する与党協議会』(座長・高村正彦自民党副総裁)の第2回会合は終始『公明党ペース』だった。集団的自衛権行使容認の結論を先送りしたい公明党は、政府側に細かく疑問をぶつけるなど『遅延戦術』を徹底。今国会中に行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定を目指す自民党側は焦りを募らせている。
『<離島等>の<等>は何を指しているのか』。公明党の北側一雄副代表は協議で、事例集の最初に記された『離島等における不法行為への対処』というタイトルにかみついた。
これは漁民を装った武装集団の離島上陸などへの対処を扱ったもので、有事に至らない『グレーゾーン』事態。公明党は中国公船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)への領海侵犯を踏まえ、法体系の見直しに理解を示していたはずだった。
日本本土を想定したと説明する政府側に『政府の昨日までの事前説明に<等>は入っていなかった』と切り返す北側氏。会場には気まずい空気が流れた。
協議の冒頭、高村氏は『法律を作った段階で精緻な議論がある。きょうの時点では大きな方向性を…』と念押ししたが、北側氏は意に介さず『一つ一つの事例をしっかり議論させていただきたい』。協議は北側氏の宣言通りに進んだ。
政府・自民党は事例集から『有事の際の邦人救出』を除外、『潜没した外国潜水艦が退去要求に応じず日本領海内で徘徊』の事例を『参考例』に格下げして、公明党に対し配慮に配慮を重ねた。だが、その思いは通じなかったようだ。
公明党の質問攻めを受け、約1時間の協議の3分の2を離島絡みに費やした上、防衛省と警察庁の説明が食い違うなど、政府側の足並みの乱れも露呈。公明党の『丸ごとつぶすためにイチャモンをつけるだけ』(幹部)という作戦は政府・自民党を苦しめた。
自公で合意した週1回のペースでは、6月22日の会期末までにあと3回しか協議ができず、今国会中の閣議決定に黄信号がともりかねない。焦った高村氏は、集団的自衛権に絡む8事例について次回、政府の説明を受けることを提案した。これにも北側氏は『議論は慎重にやろう』と反発。高村氏は北側氏の肩をたたきながら『議論を封殺するようなことはしない』と言わざるを得なかった。
与党協議後に開かれた党安全保障法整備推進本部の会合。高村氏は、集団的自衛権に関する事例に対し、『個別的自衛権で対応可能』とする考え方があることに『国際的に姑息だといわれ、かえって危険だ。個別的自衛権の定義を変えて何でもするのは解釈改憲以上に姑息だ』と批判した。
公明党を当てこすったのは明らかだった。自民党は、事例集のうち一つでも集団的自衛権の行使容認の必要性を認めさせ『ぼやっとしたものでいいから閣議決定にこぎつけたい』(幹部)としているが、妙案は見えてこない」。
公明党は、与党協議会に、「閣議決定、先送りありき」の遅延戦術で臨んでいる。具体的には、集団的自衛権に絡む8事例の協議を時間切れに追い込む腹である。
問題は、公明党が8事例のうち1つでも集団的自衛権行使の必要性を認めれば、閣議決定に持ち込めることである。その1つが、安倍首相が28日の衆院予算委員会で事例に挙げた「邦人輸送中の米輸送艦の防護」で「日本人が乗っているから守るが、乗っていないから守れないのは現実的ではない」との答弁である。邦人の有無が、個別的自衛権の行使、集団的自衛権行使の線引だからである。朝鮮半島有事で、日本に避難してくる外国人が乗った米輸送艦を、日本人の有無に関わらず、自衛隊が守るのは当然であるからだ。有事には、個別的自衛権では対応できないのである。公明党の「集団的自衛権行使容認」は時間の問題なのである。