2014年5月24日 産経「農協改革、自民農林族が反旗」「TPPより重要課題」「首相側『民主時代のツケ払わせる』」

産経に「農協改革、自民農林族が反旗」「TPPより重要課題」「首相側『民主時代のツケ払わせる』」が書かれている。

「政府が検討する農業改革案に自民党農林族が21日、反発ののろしを上げた。批判の的は、全国農業協同組合中央会(JA全中)が地域農協を統率する仕組みを廃止する『農協解体論』だ。ただ、安倍晋三首相は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の妥結に備え、農業の競争力強化には農協改革が不可欠と訴えている。農林族は『今はTPPよりも重要課題だ』と農協改革の阻止に意気込むが、首相サイドとの敵対は容易ではない。

『見てくれだけの改革で政府は対応していないか。組織の改革には、緻密な議論とその後の影響も考えなければならない』。自民党の中谷元・農林水産戦略調査会長は21日、党農林部会などの合同会議で、政府の規制改革会議が策定した『農協解体論』を厳しく批判。他の出席者からも『米国が言い続けてきたことであり、郵政民営化と同じ手口だ』(尾辻秀久元厚生労働相)などと不満や怒りの声が噴出した。

規制改革会議が14日にまとめた提言では、JA全中が全国約700の地域農協を指導・監査する中央会制度を廃止し、地域農協が経営の自由度を高めるよう、農協法の改正を要求。農作物を販売する全国農業共同組合連合会(JA全農)には株式会社化を求めた。

特に中央会制度の改革は、地域農協から年間計約80億円の負担金を集める制度の廃止にもつながる。JA全中は『農協解体の流れをくんだ意見だ』(万歳章会長)と反発し、5月の大型連休以降、自民党農林族を回る頻度を高め、政府の改革案に待ったをかけるよう陳情を続けた。農林族にとっても、農協を農業政策の『重要なパートナー』と位置づけてきた上、『農協解体』は慎重な票田を失いかねない。

これに対し首相は、農業改革を6月にまとめる政府の成長戦略の中核に据える意向だ。19日の産業競争力会議では、農協改革▽企業による農業生産法人への出資制限の緩和▽農地取引の許可権を持つ農業委員会の権限縮小――という『3点の改革をセットで断行する』と表明した。規制改革会議の提言は首相の意向を踏まえたものといえる。

農林族は『政策は全て農林部会の席で決める』(中谷氏)として来週にも見解をまとめ、首相サイドに圧力をかける構えだ。首相周辺は『農家の減少で農林票もかつてほどの影響力はない。農協には、民主党政権時に自民党を手放したツケを払わせる』と強気の姿勢を崩していない」。

官邸が主導する「農協解体」に、ようやく農林族が反旗を翻し、抵抗を始めたが、時すでに遅しである。農水省と農林族の一部が「農協解体」に同調しているからである。「農協解体」はもう止められないのである。

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