2025年8月3日 日銀利上げに動くか

日本銀行は先月31日金融政策決定会合で金利現状維持を決定した。連続して追加利上げを見送ったかたちだ。無担保コール翌日物(銀行間の短期資金金利)
の誘導金利を0.5%程度に据え置いた。今回政策委委員全員一致との事だ。
1月に0.25%程度から引き上げて以来、現状維持が続いている。

日銀植田総裁は会見で「大きな前進だ。日本経済をめぐる不確実性の低下につながる」と日米関税合意についてのコメントをしている。
日銀は3ヵ月ごとの展望レポートでも消費者物価指数(生鮮食品除く)の上昇率見通しは25年度2.7%、26年度1.8%、27年度2.0%とした。

実質GDP(国内総生産)成長率は25年度0.6%、26年度0.7%、27年度1.0%としている。政策金利に関して植田総裁は引き上げていく方針に変更は無く環境は少し見えてきたと述べている。
展望リポートに於いても「不確実性が極めて高い」としていたが、日米関税交渉合意により(通商政策などの影響に関する不確実性はなお高い状況が続いている)とコメントしている。

一方アメリカFRB(連邦準備制度理事会)はFOMC(連邦公開市場委員会)で連続して金利据え置きとした。今回決定に於いては32年ぶりに理事2人の反対があり内部でも意見が分かれている様である。
パウエルFRB議長はトランプ大統領の関税政策による影響を慎重に見極めるようである。FOMCは正副議長含めFRB理事7人に加え地区連銀代表5人の合計12人が投票する。

反対票を投じたのはFRBボウマン副議長とウォラー理事であった。ボウマン氏は政策金利の調整が必要な時期に来ている、雇用の下振れリスク懸念などを主張してきている。ウィラー氏も関税政策による価格上昇は一時的との見方でインフレリスクは少ないとし0.25%程度の利下げを主張してきている。
ちなみに両名ともに第一次トランプ政権時に任命されており、ボウマン氏は第2次トランプ政権で副議長に就任している。トランプ大統領からの利下げ圧力を受けているパウエル議長は中央銀行の独立性は尊重されるべきと述べている。
日米とも関税による影響を慎重に見守る姿勢に変わりはないようだ。

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