2024年6月10日 緊張の南シナ海

太平洋とインド洋を結んで広大な海のエリアがアメリカ、中国、フィリピンなどの各国の思惑が入り交じり複雑な要衝となっている。アジア安全保障会議がシンガポールで開催された。フィリピンのマルコス大統領は(相手国の故意の行為によりフィリピン国民が死亡すれば戦争にきわめて近い)と中国を意識して発言した。中国とフィリピンは南シナ海の領有権をめぐって一触即発状態が今も続いている。

また相互防衛条約関係のアメリカに共同で反撃する事まで示唆した。これらの発言に対して中国の軍事科学院の反応は、これらの緊張の原因はマルコス政権側にあり(あまりに好戦的すぎる)と反応している。アメリカのオースティン国防長官は(相互防衛条約の我々の関与は鉄壁だ)と発言し強調する。

中国は10ヵ国加盟の(ASAEN)東南アジア諸国連合の各国に対してもフィリピンに同意するなと圧力をかけているようだが、ASAENは情勢を見守っている状況だ。ASAEN各国は中国に対して領有権や海洋権益に対して問題は抱えているが、温度差があるのも事実で、フィリピンのようにアメリカ追随とはいかないようである。ベトナムは安全保障協力に於いてアメリカとの一定の関係を保ちつつ中国との経済関係も重視いている。ロシアとの関係も友好的である。カンボジアの国防相は中国、ベトナム、フィリピンに於いても友人であり争いは望まないと発言している。

地域諸国では大国にあたるインドネシアは中立的立場のようだ。世界はロシアとウクライナ問題、イスラエルとイスラム組織ハマスとの軍事衝突、ヨーロッパ、中東、これに中国対応が加われば三方面に勢力が分散される。アメリカといえども財政、軍事資源は限界があるであろう。オースティンアメリカ国防長官は演説で各同盟、友好国に対して「新たな結集」を強調し、主権国家の自由な選択と述べ中国を意識した発言をしている。

一方、中国側はロシア、イランと友好的関係を強化していて、NATO(北大西洋条約機構)の拡大がロシア、ウクライナ紛争に繋がったとの主張のもと、アジア太平洋地域でも第二のNATOを作る気かと反発している。世界が分断化していく中、日本の立場もアメリカ追随だけではリスクが過大すぎる。

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