2024年3月27日 日銀政策の転換
日本銀行の金融政策決定会合がおこなわれ、金融緩和策をやめてマイナス金利を解除する事が発表された。植田総裁は理由として、春闘での高い賃上げ率から目標であった物価上昇率2%が見通せる様になった、今まで続けてきた大規模緩和の役割は果たしたとし、今後は「普通の金融政策を行っていく」と述べた。同時に当面は緩和的金融環境が継続するとの事で、結果円安が加速した。
民間銀行に対するマイナス金利政策を取りやめプラス0.1%にする。無担保コール翌日物を0~0.1%程度に誘導する。イールドカーブコントロール(長期金利を抑える長短金利操作)もやめる。誘導目標や上限も定めない。ETFなどは暫く購入も無かったが、ETF(上場投資信託)Jリート(上場不動産投資信託)の買入れもやめる。金利急騰のコントロールの為の国債購入に関しては、月6兆円程継続するとの事だ。いずれにせよ金利に関しては大きな政策転換である。
植田総裁は総理官邸に出向き岸田首相に政策転換を報告して、岸田首相は会見で「適切な判断であり、デフレ脱却に向けてあらゆる手段を総動員してしていきたい」と述べた。 今回の政策転換は異次元の金融緩和から金利が発生する普通の状態に戻す事であり、植田総裁の言う普通の状態であって増々金利上昇させていく事ではないようだ。しかし今後は日銀の国債保有額、約590兆円をいかに減らしていくか、じわじわと上昇圧力がかかる住宅金利などの懸念は残る。
これらの政策転換を受けてメガバンクは預金金利の引き上げを決定した。三菱UFJ銀行は現行から20倍にあたる0.02%に、三井住友銀行も4月から同様にするようだ。みずほ銀行も続く予定との事である。メガバンク3行の借入れ側の住宅金利などは今のところ変えないとの事であるが、他の銀行などは不確定な部分はあるだろう。また設備投資などを借入れる企業側は影響が出てくるであろう。
安倍内閣時代に大規模緩和を経済政策の柱にし、デフレ脱却号令のもと当時の黒田日銀総裁が物価上昇率2%の実現に向けて突き進んできた。いわゆるアベノミクスが終焉を迎えた今、日銀は多額の国債を抱えたまま政策転換した機に同時に過去の検証も必要であろう。