2023年9月4日 日中関係改善に暗雲

東京電力福島原発の処理水放出をめぐって日中関係が悪化している。福島近県にとどまらず日本全体からの水産物輸入禁止や原発関係以外の施設や店舗へ嫌がらせ電話、中国本土では日本人学校などに投石被害なども確認されている。日本の外務省は中国への渡航並びに滞在者に対して注意喚起する事態にまでなっている。

福島県内では旅館をはじめ飲食店などにも中国番号通知の迷惑電話が後を絶たないそうだ。東京電力でも海洋放出の先月24日以降で中国の国番号通知からの電話が多数続いている。また輸入禁止した水産物に限らず日本製品の不買運動なども一部に起きており、記憶に新しい尖閣諸島の国有化し時の反日ムードを彷彿させる。そもそも中国政府は処理水ではなく「核汚染水」と明示して「海を下水道にしている」と抗議しているのだから中国国民も過剰に反応するのは無理もない。

直近までは歩み寄りもあり、中国から日本への団体旅行解禁など日中関係は改善の兆しがみられた。以前から親交を深めていた公明党の山口代表訪中も先月、岸田首相との会談後首相からの親書を持参しての訪中であると明かしていた。政府側も期待を寄せていたが、今回の事態で延期をせざるおえなかったようだ。中国は日本が思う以上に政治問題化して捉えているようだ。公明党との関係は1972年日中国交正常化に於いても同党の功績を評価してる程深い関係だ。それを鑑みても今回の対応は中国側の強固な姿勢を表してる。

中国では資産状況や情報入手に関して階層が存在する。日本に気軽に個人旅行出来る方々はあらゆる情報を入手し判断出来るが、情報弱者の方々は巷のネット情報などを信じ不安に感じている事であろう。日本側もこのような事態はある程度予測可能であり科学的データを分かりやすく発信拡散する手立てはもう少し進めるべきであったと思う。

一方対応策として岸田首相や管轄大臣など福島産の海産物を食べながら安全性をアピールし風評被害防止に努めている。影響を受ける水産事業者に対して「中国政府の水産物輸入停止措置から我が国の水産事業者を断固として守る決意だ」と支援策を発表しているが、反日プロパガンダで毎回思うのは、軍事はアメリカ頼り、経済は中国に依存する状態の脱却、「経済安全保障」を確立していく事が必要に思う。

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