2023年9月28日 「持続可能な平和の為の女性の役割」IN 韓国

国連認定NGO世界女性平和グループが韓国に於いてカンファレンス開催

最初に登壇したマリア.デ.ファティマ.アポンソ.ヴィラ.ノヴァ.サントメ.プリンシペ大統領夫人が、「不安や葛藤,戦争問題での、女性の立場を覆す時が来た。女性たちがこの問題に対抗して、肯定的な介入ができるようにしていくべき。」と祝辞を述べた。
特別講演者エイヤ.ベンジャミン.ワリレ・南スーダン女性児童福祉部長官は、「持続可能な平和の必要性と緊急性」について強調した。エイヤ長官は「持続可能な平和が根底から構築されなければならない。その道は容易ではないことを知っているが、力強い国民と共に、逆境に屈さず勝利するだろうと語った。
セッションでは、平和教育、平和文化、平和の制度化3つに議題が進められた。最初のセッションでは、カーディア.マイガディアロ・ユネスコ,マリ国家委員会事務総長が「女性平和教育の重要性と機会」について発議した。
彼女は、「女性たちは、紛争解決に重要な役割を果たしている。交渉,和解,仲裁,平和構築過程などの場に、もっと女性を参加させるべきである。特に平和教育プロジェクトを支援するために、女性は様々な方法を使うことができる。」とマリ政府の事例を紹介した。
ネジハ.ラビディ元チュニジア女性家族児童老人部長官は、「未来のための女性平和教育:変化する世界での力量強化」を述べ、リリアン.ベネディクトウンサキ.キリスト教社会奉仕委員会公衆衛生専門家は「女性平和教育PLTE(Peace Lecturer TrainingEducation)がタンザニアにもたらした変化」について報告した。
ネジハ元長官は、「暴力を減らすための様々な努力があったが、人間の尊厳や尊重の為の新たな文化を確立するには、まだまだ道は遠い。「人権」という普遍的価値を共通の基盤として、偏見なく「人権」を尊重する文化と文明であるなら、その権利は認めるべきである。」と述べた。

セッション2は、フィリピン女性3人が、「平和的に変化したフィリピン,ミンダナオ女性達の人生」を伝えた。その後には、マリア.テレサ.ロヨ.チームボール.ダバオ.デル.ノルテズ・カファロン市長、エリザベス.マングダダトゥ・マギンダナオ州マングダダトゥ副市長、ルビー.バニャレス.ビクトリノ・元メトロポリタン,パシグ,ジョンタクラブ会長が壇上に立ち、ミンダナオ紛争が始まった時点から現在まで約40年の歴史を振り返り、当時の状況の惨劇について語った。

セッション3は、現行国際法の限界と「地球村戦争終息平和宣言文」(DPCW)の意義が紹介された。 アルラム.ベイダウン元ベイルート・レバノン大学法学部,政治行政学部教授が、「現国際情勢を通じて見た国際法の限界」を検証した。
彼は、「人類が国際平和と安全保障に達成するのが難しい理由は、国家の慣行と国連の働きに問題があるから」と言及した。アルラム教授は「国際連合憲章(国連憲章)を作成したのは第二次世界大戦の戦勝国であり、第一次世界大戦以降の合意を含め、戦勝国の利益のために作成されたものであり、結果的に国際社会においての国連憲章定義づけは、この国々の利益維持のためのものに変質した。」と指摘した。国連憲章については、「国際平和と安全維持という任務は、安全保障理事会が委任されているが、安保理は主権平等の原則による意思決定を下さず、中立的立場ではなかった。」と述べた。
一方解決策として、「国民達の問題認識が高まらなければならず、国連安保理の意思決定プロセスを、より客観的かつ中立的なものとなるように改善しなければならない」と分析した。
10条38項から成る宣言文は、紛争を予防し、解決,仲裁して、平和を維持する方法を提示している。「DPCWは、複雑化する国際社会の中で、お互いの多様性を理解し尊重するための様々な条項を明示し、これを基に、全ての行為者が追求し守るべき原則を提示している。DPCWが法的拘束力を備えた法案として施行されると、平和世界建設のための新しい秩序、礎になるだろう」

モンゴルの元国会議員であり、IWPG諮問委員であるブーデ.ムンフトヤ・母性栄誉勲章母親協会代表は「持続可能な平和の制度化のための女性の役割」をテーマに発表した。
彼は、ロシア・ウクライナの戦争事例を挙げて現国際法と平和条約に実効性がないと証し、DPCW法制化のために女性たちの役割が重要だと強調した。ブデ.ムンフトヤ氏は、「多様な民間機関や団体の協力を成し遂げるためには、女性リーダーシップの大きな強みであるコミュニケーション,協力,和合が必要。」とし「また女性たちは、葛藤や解決に対して、違いを明らかにして差別化する視点と知恵を提供できるため、平和的で包括的な国際法の制定に役立つだろう。」と主張した。

論説:
現在の男性を中心とした権力構造の中にあって、世界から1000人超規模の女性が集結し一人の女性として、また子を持つ親として、切迫した危機感から意見を交わしていた姿に生命力を感じたカンファレンスであった。欧米を中心とした軍産複合体の新自由主義の中、戦争ビジネスの利権とは距離がある女性ならではの発議であろう。我国日本は日米安全保障の傘のもと、安泰と過ごしている温度差を感じさせる会議でもあった。日本も台湾情勢はじめ、北朝鮮と隣国に於いては安全保障上のリスクは増大している。政治家のみならず国民も真剣な思考が必要であろう。

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