2023年8月26日 中国不動産恒大の破産申請

今月初めにアメリカから大きなニュースが飛びこんできた。中国不動産大手の恒大集団が米連邦破産法適用の申請をした。手法的には債権者による差し押さえなどを防ぎ再建の資産を保全するとの計算があるのであろう。裁判所により適用が認められれば、アメリカに於いて保有する資産の強制執行を回避できる。恒大集団は「債務再建手続きの一環で破産宣告ではない」と声明を発表した。

恒大集団は外貨建て債券のうちの約200億ドルのドル建て債券の再建を進行して債権者協議を進める考えのようだ。恒大集団は昨年末時点で日本円にして約49兆円の負債がり、多数の訴訟も抱えている。たとえアメリカに於いて破産法が認められても再建は茨の道となるだろう。そもそもは、行き過ぎた不動産バブルを警戒した中国政府が財務規制を強化した政策にシフトしたのを契機に資金繰りが悪化した。

中国国内総生産GDPの約3割を占めると言われている不動産市況だが、恒大集団以外の企業も懸念要因がぬぐえない。21年9月に恒大集団深圳の本社前に債権者や住宅購入者が多数集まり抗議する模様が流れたのは記憶に新しい。当時からより負債総額は増えており通常の民間企業ならデフォルトする状況であろう。アメリカに於いての破産法申請は中国政府の圧力が及びにくい海外債権者向けにアメリカの資産保全が目的であろう。

しかし全体の負債に占める外貨建て負債は3割にもみたない。かつての日本もそうであったが土地神話が一旦崩れると一直線に萎んでいく。中国では自己使用の住宅ではなく投資としての物件が人口減も重なり、現在は供給過多の状態になり建設途中で止まった状態も見受けられる。中国国家統計局のデータでは不動産開発投資額は22年から10%減、今年前期も8.5%減になっている。

不動産不況が中国経済の下押し要因になるのは明確だが、不動産に限らず消費もコロナ後あまり回復せず、輸出も減少している。4月~6月のGDPは0.8%のプラスに留まっている。中国政府指導部は全体としては良い方向に向かっているとの声明を出しているが、統計上見えてないものもあると推測される。中国経済の低迷は日本にも大きな影響を及ぼすので、注意深く関心をよせる必要があるだろう。

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