2023年8月7日 武器輸出の制限緩和

武器輸出の制限をかけている「防衛装備移転三原則」の運用指針の見直しも含めた与党の中間報告が取りまとめられた。
防衛装備移転三原則は武器輸出を禁止する場合、輸出を認める場合、輸出を認めた場合の適正管理の三本柱だ。政府は昨年に閣議決定した国家安全保障戦略に於いて三原則は維持しつつ防衛力強化の制度見直しを進めるとの事だ。

与党側の報告書では武器輸出の緩和を促す内容で、武器輸出三原則に「我が国にとって望ましい安全保障環境の創出」「国際法違反の侵略や武力の行使、威嚇を受けている国への支援」などを追加したいとした。
いずれもロシアによるウクライナ侵攻の様な事態を想定したものと、覇権主義を強める中国を意識したものであろう。政府は国際法違反の侵略を受けているウクライナに輸出可能にしたが、更に輸出対象国を拡げる考えのようだ。

重要な事は輸出出来る武器の範囲の点だ。現行では安全保障上協力関係国に対して(救難、輸送、警戒、監視、掃海)に於いて殺傷能力のない武器輸出が認められている。今回の報告書ではそこに「五類型に該当する活動の本来業務」や正当防衛の為に自衛隊法上の殺傷能力のある武器も提案がされていた。例をあげると掃海活動での機雷処理用に使用する機関砲などがある。

また他国との武器共同開発の捉え方で「我国から第三国に直接移転出来るようにする方向が希望されている」点だ。日本がイギリス、イタリアと共同開発する次期戦闘機などが想定される。戦闘機となると殺傷能力の最たるものだが、公明党も(日本独自の制約が共同開発の支障とならない様にしっかり考慮していくべき)と容認の構えだ。

また部品の輸出に関して報告書では「部品そのものが自衛隊法上の武器としての性質を有しないものであれば移転を可能とすべきとの意見があった」としている。これは現在、自衛隊で運用しているF15戦闘機の主力部品などを輸出する想定であろう。

課題はこれら提案事項の前提である「侵略を受けている国」をどの様に判断、認定していくのだろうか。また第三国に渡った武器が本来の目的外に使用譲渡された場合など不透明感はのこる。

pagetop