2023年7月25日 ASEAN 非核化へ中国にアプローチ
ASEAN(東南アジア諸国連合)が諸国内での核兵器使用禁止などを取り決めた東南アジア非核兵器地帯条約への加入を中国に対して求めている。中国側は「責任ある核保有国」との立位置を示しているが、アメリカなどを意識し牽制をした対応になりそうだ。
ASEAN議長国であるインドネシアのルトノ外相は、東南アジアの非核化について議論する会議の中で(地域の安定は核兵器があってはなしえない)との意見を述べている。東南アジア非核兵器地帯条約(バンコク条約)は1995年に署名、97年に発効された。ASEAN加盟10ヵ国が加盟し核兵器に関する開発、保有、放射性物質の投棄を禁止している。議定書には地域内での使用や使用を示唆する脅しに対しても禁止している。
ASEANは保有国である米国、英国、フランス、ロシア、中国へも署名を求めてきたが難航してきた。そんな折、中国が前向きな発言をしてきた。2021年習近平主席はバンコク条約への支持を表明していたが、今月のASEAN会議に於いても前向きな発言をしている。これはASEAN内に於ける中国の存在感を示し西側諸国に対する牽制でもあるだろう。中国の積極的外交がここでも展開されている。
中国が加盟に前向きさを見せれば、アメリカ・オーストラリアで進行している原子力潜水艦保有計画の牽制にもなるだろう。中国側は原潜計画に対して東南アジアの非核化のポリシーに反するとの主張のようだ。核を持ち込もうとする欧米との構図を際立たせたいのだろう。しかし中国の議定書への署名に関して、この条約は各国の領海及び排他的経済水域には含まれない旨の要求をしている。この様な領海及びEEZの主張がかみ合わない中、南シナ海の南沙諸島などの領有権を主張し、その一帯に対しての権益を主張している。
目まぐるしい情勢変化のなか日本国内では昨年、防衛費の増額が決まり財源の一部として1兆円規模を増税で賄う方針になった。政府・与党は臨時の与党税調を開催して増税の開始時期を決定し、秋の臨時国会に於いて改正案を提出との思惑もあったようだが、「経済財政運営と改革の基本方針」によると25年度以降のしかるべき時期との事で明確には決まってない。与党内では増税先送りの意見も出ている。