2023年6月7日 少子化対策の財源

今月に公表した「こども未来戦略方針」案によると今後は加速度を強めOECD(経済協力開発機構)でトップになると発表した。しかし、安定的な財源に関してはどうなのだろうか。まず注目は1兆2千億円の児童手当である、今まで中学生までの対象を高校生まで拡げる。第三子以降に関しては加算されるそうだ。今まで親の年収により960万以上は5千円に減額されて、1200万以上に関してはゼロにする政策が撤廃される。

そもそも少子化対策が叫ばれたのは30年程前からである。その間も様々な議論があり政策も打ち出されたが好転しなかった。今回は岸田首相の采配の基、約5千億円追加され総額3兆5千億円規模となった。それには高等教育の拡充など盛り込み、首相の意気込みは感じられるが肝心の財源に関しては年末に先送りされ、制度改正に関する法案は24年度通常国会に提出予定だ。

子供の未来に対して継続性が担保されるかが重要な事であるが、財源確保の為に新たに負担に関する具体的情報は乏しく、安定財源は2028年までに確保すると記したのみである。「こども特例公債」との発表はあるが、あくまで使途が明確で短期償還の(つなぎ国債)であり継続性に不安がもたれる。財源の基となるのは社会保障の歳出改革と支援金制度。経済会から増税案もでたが、財源確保を目的とした増税は行わないと岸田首相が退けたかたちだ。

政府は広く負担を求める姿勢から高齢者や企業負担でもある医療保険料と支援金を一緒に集める案などが出ている。これには医療保険料の歳出を抑えて支援金にあてる想定であるようだが、果たして理屈通りになるのだろうか。社会保障の費用は年々増加しており、現在の物価高、エネルギー高の中で計算通りにならないと思う。 「こども未来戦略会議」の中でも有識者からは医療や介護の報酬改定は慎重な意見が出ている。

どの様な手立てをしても、この規模の予算を執行するには、どこかが負担になるのは明白である。安定的財源に関して年末に先送りしてるのは、年内に衆議院選挙を意識し、尚且つ衆議院解散が近いとしか思えないのだが。選挙を終え一息ついて子供の未来は考えるとならないでほしい。

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