2023年5月7日 クレムリン攻撃

ロシア大統領府があるクレムリンにドロ-ン攻撃があった。暫く時間をおいて映像が配信されロシア側はウクライナがプーチン大統領の命を狙ったテロ攻撃であり、報復の権利を有すると発表した。 ロシアでは9日に対独戦勝記念日を予定しており緊張感ある中、ウクライナ国境付近の鉄道爆破や石油施設の原因不明の火災などが頻発している。今回は政権中枢での事件だけにロシア側発表の通リであれば、ロシアの過剰な反応が予想される。

ウクライナ側はロシア中心より離れた場所での事件は曖昧な態度をとってきたが、今回に関しては即座に攻撃を否定している。そもそも警戒厳重体制のクレムリンにドローンが近つけるのだろうか。アメリカのシンクタンクの話では、今年に入りロシアはモスクワ周辺の防空システムを更新しており、SNS配信映像の様な攻撃は考えにくいとコメントしている。欧米諸国からもロシアへの直接攻撃は事態を悪化させ、控えるよう以前から伝わっていた筈だ。クレムリン中枢への攻撃とあらばウクライナへの支援も鈍る事はウクライナ側も理解していたであろう。

現段階での推測は、ウクライナ側なのかロシアの偽旗作戦なのか、もしくは双方の指導者の管理下にない組織の仕業なのか。ウクライナ側ならロシア中枢に注視させウクライナ国内の激戦地の戦力を分散させる効果と防空システムの穴をさらけ出す効果などはあるかも知れないが、メリット、デメリットを考慮するとウクライナ側リスクが大きすぎる。今回はアメリカの見立てが理解しやすい。映像からはプーチン大統領の暗殺まで狙った規模とは思えない。今後のロシアの動向を注視していくしかないだろう。

9日の戦勝記念日は「ナチス・ドイツに対する偉大な勝利」が題目になっている。ロシア国民に対してウクライナでの軍事行動を正当化するなかで、更なる戦闘員動員の士気高揚の意味もあるだろう。残念ながら停戦の方向に向かわず、長期戦になっていく事態で日本はどの様な対応が良いのか、日本のテレビメディアもゴールデンウィークの渋滞情報や観光地の混雑ぶりばかりでなく視聴者にシビアな問いかけも必要に思う。

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