2022年9月26日 進む円安、日銀対応注視

鈴木財務大臣は会見で「あらゆる措置を排除することなく為替市場で必要な対応をとっていきたい」と述べた。口先介入で、為替介入をちらつかせ市場を牽制した後、直ぐに実行した。今の関心事は日銀が、次にどの様な手をうてるかだろう。そもそも円安の原因は、日米の金利差にある。日銀が金融緩和策を変更していけばある程度、急激な円安に歯止め効果はあるであろう。

金融緩和策の要であるイールドカーブコントロールで長期金利の上限を現在の0.25%程度からの引き上げや政策金利の見直しなどの選択肢があると思う。しかし、黒田日銀総裁が堅持してきた「経済を支える為の金融緩和」の方針に整合性が取れなくなる。日銀内には景気悪化の懸念と、そもそも金融政策を変更する余地は残されていないとの意見もあるようだ。

米国連邦準備制度理事会(FRB)は今後、更なる利上げが予想される。日銀がこのまま緩和を継続すれば、円安はさらに進行して物価は上がっていく事が予想される。円安を押さえようと動く政府側の思惑との政策の矛盾が浮き彫りになった。 日銀黒田総裁は最近の会見では「急激な為替レートの変動は企業の経営方針を不安定にして好ましくない」と述べている。将来的な金融政策変更に布石を打った意図なのかはわからないが、出口戦略が見えない状況であるのは確かだろう。

FRBやECB(欧州中央銀行)が金融引き締め、世界から日本が隔離された状態の中、日本売り圧力が加速し、対ドル相場¥160も想定され、このままYCC(金利抑制)政策を継続すると、為替制御不能になり、益々物価高騰しインフレも加速度的に進むであろう。日銀は政策変更決断のタイミングではないかとの予想のもと、欧州の大手ファンドの一部は、近い将来緩和縮小して円高に向かうと円買いに仕込んでいるようだ。金融ファンドは勝ち負けの世界でリスクヘッジしていけば良いが、日本国内の平均的生活者や年金生活者は翻弄されるばかりだ。今こそリスク覚悟の政治判断が必要な時であろう。

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