2022年9月10日 英トラス新首相就任

初頭にエリザベス二世女王陛下の崩御の報に接し、謹んでお悔み申し上げます。
エリザベス女王陛下は1952年の御即位以降、英国王室史上最長の70年にわたり在位され、日英関係は日本の皇室・英国の王室の伝統的な友好関係により支えられてきました。エリザベス女王陛下は、昭和50年に御訪日され日英関係友好に貢献されました。


崩御の報の二日前に任命されたトラス新首相には課題が山積している。保守党党首選挙でスナク前財務相を破り。英国の新首相に就任したが、英国民多数の信任を受けたわけでもない。トラス首相を待ち受ける課題はロシアによるウクライナ侵攻に於ける対応、主因は欧州の需要に巻き込まれる形での天然ガスの高騰、ドイツなど電力節約や貯蔵設備の整備に動いてきたが、首相交代などドタバタもあり、英国は具体的な対応は遅れてきた。それに付随するエネルギー価格の高騰、物価インフレ対応など直ぐには奇策がない課題が山積している。

トラス首相は国際貿易相や外相時代EU離脱後の国際関係性を重要視し、離脱のメリット面としてアジアとの関係性を強化してきた。その反面、地政学的に有利なEUとの関係は悪化しており、今般のウクライナ問題は裏目に出た感だ。
今後どの様に修正していくかは手腕が問われるであろう。日本との経済関係に於いては、外相時代から進めてきたTPP加盟を推進してアジア諸国との関係性を強めると予測される。しかし英国内の経済界ではEUとの関係が優先と考えるグループも少なからずあり、英国とアイルランドの国境管理の約束義務をめぐり欧州委員会から法的処置の懸念もある。冷え込んだEUとの関係をどこまで改善していくか課題が残る。

盟友の米国はウクライナ紛争に於いて、ロシア制裁は一致しているものの、貿易交渉は進んでない。本人は否定しているが欧州一部メディアでは、ファッションから鉄の女サッチャー元英首相の再来と報じている。しかし、かなり強固な鉄の女にならないと、今般の難局は打破出来ないであろう。

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