2022年6月9日 自民党骨太の方針

歴代最長の安倍政権によって描かれたアベノミクスに於いて、検証や今後の動向において党内でも対立が表面化してきた。5月に行われた党内の財政再建派を中心とした、財政健全化推進本部の会合後に安倍元総理本人が自らの派閥の越智氏に認識確認の連絡を入れたとの事である。日本は数々の経済政策を実施してきたが、過去からのデータを比べても主要先進国の中で最低レベルの成長率である。そのような報告が、安倍氏にはアベノミクス自体の否定と感じて、反論を始めたのであろう。

財政政策検討本部が積極財政派を中心にスタートしたのは昨年12月である。安倍氏自身が最高顧問になり本部長には安倍派の西田昌司参議院議員が就いた。そもそも西田氏は(MMT)現代貨幣理論を論じている。つまりは自国通貨建て国債を発行できる国はインフレになるまで赤字を考慮せず財政拡大出来るとの考えの持主である。そんな中、党内バランスを考慮する立場の茂木幹事長が岸田総理直轄の財政健全化推進本部を立ち上げた。最高顧問には麻生副総裁、本部長には額賀元財務大臣といった顔ぶれで、本流を意識したスタンスもあったのであろう。一方、安倍氏、西田氏側の提言は基礎的財政収支(PB)黒字化凍結の文言は無く、マイルドな表現に留まっている。

先のウクライナ危機に於いて物価高騰が庶民の生活を圧迫し、急な党内対立は夏の参議院選挙に悪影響との考えがあると推察できる。しかし、麻生氏側の財政再建派から出てきた提案は、安倍氏が許容出来る内容ではなかった。文章の修正を求めたり、その後の党内会合は紛糾した。結果、(安い日本)等のワードは削除され、アベノミクスは今も道半ばらしい。

総理経験者どうしが自身の功績をアピールし、今後も影響力を行使したい人情は理解出来るが、権力は永遠ではない。結果として国債残高は積み上がり勤労者の給料はあまり変わらない。この先も続く日本国の為に、どこかの時点で日本株式会社の総括をする必要はあると考える。

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