2021年10月15日 衆院選の争点に「再エネ最優先か、原発再稼働推進か」

自民党総裁選で、河野太郎氏が敗北し、高市早苗氏が善戦し、岸田文雄氏が勝利し、第100代目の総理となったが、その最大の争点が。菅義偉政権が進めた「再エネ最優先」 を掲げるエネルギー政策の是非であった。幸い、再エネ最優先のエネルギー計画を主導した菅・河野・小泉・菅連合は、再エネ最優先の是正を掲げた岸田・高市連合に敗れ去ったが,亡国のエネルギー計画を見直すべきである。岸田政権の最優先課題となる。

エネルギーの安定供給は国の基である。菅義偉前政権は2050年までに、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を掲げた。政府の第6次エネルギー基本計画の素案は30年度時点で全電源の36~38%を太陽光発電などの再生エネルギ―で賄うと明記したが、現行の22~24%からの大幅の引き上げだが、その実効性に疑問持たざるを得ない。安全が確認された原発の活用が必須なのに、河野氏、小泉氏は原発に否定的である。世界的な気候変動リスクによる再生エネルギ偏重の見直しが、世界の趨勢となっている、のにである。

欧州で、今日、電気・ガス価格が高騰して史上最高値を更新している。風力発電を大量導入し、石炭火力発電を大幅に削減してきたが、今年の夏は、風に異変が起こり、風力発電量が低迷した。その穴埋めに天然ガスが大量に使われ、在庫が大幅に減少し、米国からの天然ガス輸入がメキシコ湾岸へのハリケーンの来襲によって、停滞し。ガス価格が高騰、 電気料金も跳ね上がった。欧州の一般家庭は、2割~4割といった光熱費の大幅上昇に見舞われている。再エネ普及を最優先し安定供給をおろそかにした付けが回ってきた。日本も同じ轍を踏みつつある。

問題は、太陽光発電の気候変動リスクである。プリンストン大学の研究チームによると、 気候変動で地球の表面温度が上がると湿度が上がり、雲が増え、曇りの日が増える。少な い日照時間は太陽光発電にマイナスだ。現在、太陽光発電に好適とされる温暖な米南西部のような地域が将来は適さなくなる可能性があるという。日本も例外ではない。まして日本は台風を始め自然災害リスクが大きい。その中で太陽光発電の国土面積当たりの設備容量は世界一となり、適地が残り少なくなっており、限界点にきている。近年、企業が山林を切り崩して太陽光発電設備を作る事例が増え、住民の懸念が強まっている。今年の7月3日の熱海市伊豆山で発生した土石流で27人もの犠牲者が出たが、ソーラパネル設置が原因とみられている。一方、太陽光発電は中国リスクをも抱えている。太陽光パネルの世界市場8割を占める中国製品はウイグルの強制労働との関係の疑いが濃厚であり、米国は6月に中国製太陽光パネルの輸入を禁止した。日本も同様な措置を取るべきだが、政府の計画案ではこの重大な問題を無視し、太陽光発電の大量導入を図ろうとしている。米国の制裁の対象になるが。これ以上の中国製太陽光パネルの輸入禁止で米国に同調せざるえいないが。

そこで問われてくるのが、ペースロード電源としての原発の必要性である。米英仏露、中国などの主要国は原発を活用している。脱原発に突出しているのは、ドイツなどのごく 少数の国である。日本は技術力が高いにもかかわらず、原発ゼロの世論に押され、既存の原発再稼働も遅々として進まない。民主党政権下で決まった「1ミリシーベルトの呪縛」 の妖怪が国内を徘徊し、反原発の世論を醸成している。国際放射線防護委員会(ICRP)が提唱している線量抑制の目安は年間20ミリシーベルト以下なのに、である。年間1ミ リシーベルト以下という除染の長期目標値が、復興の妨げや風評被害の源になっており、 原発再稼働容認の障害となっている。

総裁選で勝った高市政調会長と岸田総理のエネルギー政策は、小型モジュール炉(SM R)と呼ばれる小型原子炉の建設や、核融合炉の研究開発である。再エネよりも原子力こそが世界の潮流なのである。欧州の脱炭素政策が破綻した今、揺り戻しは必至である。岸 田政権は、原発再稼働容認から原子力の推進を宣言し、覚悟をはっきり示すべきである。 次期衆院選の争点に、エネルギー安定供給としての原発の推進を上げるべきだ。野党の原発ゼロは非現実的であると。国是は電力の供給安定であり、それには原発再稼働と小型原子炉の建設が必須であると。

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