2021年4月7日 憲法9条守って国滅ぶの愚
「安倍前内閣が成立を強行した安全保障関連法が施行されて3月29日で5年。この間、自衛隊の米軍防護が増えるなど米軍との一体化が確実に進むが、同法の違憲性を解消し、地域の緊張を緩和する外交・安全保障政策にこそ、知恵を絞るべきではないか。
米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官は、バイデン政権の閣僚として初めての訪問先に日本を選んだ。このことは、アジア・太平洋地域の情勢が依然、厳しいことを物語る。その視線の先にあるのは、軍事的台頭が著しい中国にほかならない。
<増える米軍の防護任務>
3月16日に開かれた日米両国の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)後の共同発表では、海洋進出の動きを強める中国を名指しで批判し、『日米同盟』をさらに強化する決意を表明した。自衛隊と米軍の防衛協力はこれまでも、自衛隊の役割拡大という形で、緊密化が進んできた。
その度合いを一層強めたのが、安倍晋三前首相が二〇一五年九月に成立し、翌一六年三月に施行された安保関連法である。
『一体化』ともいえる自衛隊と米軍との緊密な協力関係は、数字にも表れている。自衛隊が昨年一年間、安保法に基づいて実施した米軍の艦艇や航空機の防護は一九年の十四回から増え、二十五回を数えた。初めて実施した一七年以降で最も多い。
内訳は弾道ミサイル警戒を含む情報収集・警戒監視活動による艦艇警護が四回、共同訓練の際の航空機警護が二十一回。法律上は米国以外の軍隊も対象だが、安保法施行後の五年間で自衛隊が防護したのは米軍だけだ。
『アジアで最も強力な二つの軍隊の統合が進んでいることの表れだ』。米CNNは、自衛隊による米軍防護の増加をこう報じた。安保法の施行以前、自衛隊が平時に武器を使って防護できる対象は自衛隊の武器や施設に限られていたが、同法の施行で『日本の防衛に資する活動』を行う米軍など外国軍隊の武器や施設が対象に加えられた。 しかし、いくら日本の防衛に資する活動をしているといっても、米艦などの防護活動中に攻撃や妨害行為があった場合、阻止するために自衛隊が武器を使用すれば、紛争の引き金を引きかねない。
しかも、防護活動の時期や場所は米軍の部隊運用に関わるとして発表されず、情報に乏しい。安倍前首相が安保法案の国会審議で、米艦などへの防護活動について『国会および国民に対する説明責任を果たすため、可能な限り最大限の情報を開示し、丁寧に説明する考えだ』と、情報公開を約束したにもかかわらずだ。安倍前内閣は法案提出に当たって、歴代内閣が堅持してきた『集団的自衛権の行使』を憲法違反とする解釈を一内閣の判断で強引に変更し、一部とはいえ行使容認に転じた。
いまだに安保法でさらに進んだ自衛隊の任務、装備両面での強化や米軍との一体化が、戦争放棄や戦力不保持を定めた憲法九条に合致するのか。施行から五年を経ても、その妥当性を問い続けねばなるまいというマスコミもある。今年は一九九一年に湾岸戦争が勃発してから三十年の節目の年でもある。振り返れば、この戦争を契機に日本の国際貢献策として自衛隊の海外派遣が始まり、イラク戦争や『テロとの戦い』など国際紛争の度に、自衛隊は海外での活動範囲や役割を拡大してきた。
そして私たちが今、直面するのが、中国の著しい台頭だが、これまでと全く違うのは中国が日本にとって地理的、経済的に極めて近い関係にあることだ。もし、米中両国が日本周辺地域で軍事的衝突に至れば、日本も無傷ではいられまい。米国が日本に対し、日米安全保障条約に規定された以上の、さらなる軍事的協力を求めてくるかもしれない。 もちろん『平和』と口にするだけで、日本の平和と安全を保つことはできないが、日米の軍事的一体化を進めることで逆に、地域の緊張を高める『安全保障のジレンマ』に陥らないだろうか。
日本は憲法が許す範囲内で自国の守りを固める一方、地域の警察力としての米軍の存在を認め、米軍への基地提供という安保条約上の義務は誠実に果たす。その上で、権威主義に大きく傾く中国とは対話を通じて自由や民主主義、人権を重んじ、国際社会の責任ある一員として責任を果たすよう促す。そんな外交戦略を描き、果敢に展開するしたたかさが必要とされているのではないか。
対立をあおり、封じ込めに固執することを、賢明な外交・安全保障政策とはとてもいえない」。安保法施行5年がたつが、戦後72年間、日本国の平和と安全は維持されてきたことは事実である。安保法が施行されると「日本は戦争に巻き込まれる」「憲法違反である」との左派メディアと野党の大合唱となったが、フェイクニュースであることが明かになり、国民に周知徹底されるとなっている。安保法施行が日米同盟強化となり、中国の脅威と北朝鮮の脅威への抑止力となったからである。
問題は、安保法施行による日米同盟強化が憲法違反に該当するか否か、である。つまり憲法9条違反か否かである。そもそも、戦後72年間、日本国の平和と安全が守られてきたのは、日米同盟と自衛隊あればこそである。憲法9条によって守られてきたとの左派メディア・野党の論理は非現実的な幻想論である。「憲法9条守って国滅ぶ」の愚である。憲法9条は、占領軍GHQが日本を弱体化するために突き付けたものであり、いずれ日本国民が改正すべきものとの認識であったのに、戦後72年も改正なしとは独立国家に非ずである。自民党が党是として憲法9条改正を掲げるのは、必然である。今、問われているのは、中国共産党主導の「平和と言いう名の戦争」に勝つために、国民投票法案を成立させ、憲法9条改正の是非を総選挙で問い、国民投票で勝って、憲法9条を改正することである。安倍晋三前首相の再々登板をもってである。