2018年12月28日 読売「首相、20年に改正憲法強調」

読売に「首相、20年に改正憲法強調」が書かれている。

「安倍首相は10日、首相官邸で記者会見し、2020年の改正憲法の施行を目指す考えを改めて示した。自民党の改憲条文案を今国会で提示できなかったことに関しては、『各党が考えを開陳しなければ国民も議論を深めようがない』と述べ、国会での憲法論議の必要性を強調した。

≪国会で論議求める≫

記者会見は第197臨時国会が10日に閉会したことを受けたものだ。首相は、『2020年は新しい憲法が施行される年にしたいと言ったが、今もその気持ちに変わりはない』と述べた。首相は17年5月、自衛隊明記などの憲法改正の実現と、20年までの施行を目指すという目標を表明した。停滞する国会での改憲論議については、『憲法改正を最終的に決めるのは国民だ。具体的な改正案が示され、国民的な議論が深められることが肝要だ。与党、野党といった政治的立場を超えてできるだけ幅広い合意が得られることを期待している』と語った。

一方、8日成立の改正出入国管理・難民認定法(入管難民法)による外国人労総者の受け入れ拡大について、首相は『受け入れる人数には明確に上限を設ける。在留期間を限定する』と述べ、『いわゆる移民政策ではない』との考えを強調した、

国会審議では法案に関する政府の説明が不十分だとの批判か与野党から出た。これを踏まえ、首相は『来年4月の改正法施行前に法制度の全体像を国会に報告し、制度の全容を示す』と明言した。

臨時国会では48日間の会期で、焦点の改正入管難民保など、政府提出の13法案全てが成立した。成立率が100%だったのは、提出法案を10本に絞った07年9月召集の臨時国会以来となる。改正入管難民法のほか皇太子さまが即位する来年5月1日などを祝日扱いとする法律や、来年の統一地方選の日程に関する臨時特例法も成立した。

改憲発議 参院選後に、自民戦略見直し、公明消極姿勢影響≫

自民党は憲法改正発議の日程について、当初想定した来年の参院選前から『参院選後』に修正するなど、戦略を練り直す方針だ。参院選後でも安倍首相(自民党総裁)が目指す2020年の改正憲法施行は実現可能で、引き続き野党に憲法論議を呼びかける。

自民党は今国会で、憲法改正の国民投票について投票しやすい環境を整える国民投票改正案を成立させた後、4項目の自民党改憲案を提示する段取りを描いていた。だが、野党が出席して開かれた今国会最後となる10日の憲法審査会では、改憲案の提示を見送った。

野党は首相に近い下村博文・党憲法改正推進本部長が憲法論議に消極的な一部野党を批判したことや、11月29日には野党欠席の中で審査会を開催したことで態度を硬化させていた。与野党合意を重視する憲法審の慣例の下、野党が『拒否権』を行使したといえる。

党内には、会期末にかけてなお改憲案提示の動きもあったが、首相は側近議員に『無理はしなくていい』と伝え、ストップをかけた。今国会と次期通常国会の2国会にかけて改憲論議を深める考えだった首相にとって、仕切り直しを意味する苦渋の選択だった。

背景には公明党の消極姿勢があった。衆参両院で3分の2以上の賛成を得て国会発議するには、同党の賛成が必須条件となる。同党は来年の統一地方選と参院選を重視しており、選挙準備に混乱を招くとして、参院選前の発議の慎重論が強まっていた。公明党の北側一雄副代表は11月21日のテレビ番組で『今国会と2国会で憲法改正が発議できるなど、とんでもない』と強くけん制。山口代表は同26日の講演で、来年中の国会発議は困難との考えを表明した。国会発議の目標を参院選後に先送りした場合、公明党には『自民党の改憲論議に付き合う余地がでてくる』(幹部)との前向きな見方がある。

ただ、野党の壁を突破する道はなお見通せない。衆院憲法審で野党側筆頭幹事長を務める立憲民主党の山花郁夫氏は今月10日、記者団に『自由討議をして、意見表明というのは、はるかに優先順位が落ちる』と述べ、次期通常国会で国民投票法改正案や国民投票運動に絡むCM規制などを先に議論する考えを示した。

CM規制を巡っては10日の衆院憲法審の幹事懇談会で、日本民間放連盟(民放連)からのヒアリングが行われた。民放連の永原伸専務理事は『政治的表現の自由の制約になる』と語り、自主規制に否定的な考えを示した」。

改憲発議が、野党のサボタージュと公明党の消極姿勢で参院選後に先送りとなったが、安倍晋三首相は10日、20年に改正憲法の施行を改めて強調した。その意味は、来年7月の衆参同日選の意思となる。来年7月参院選で改憲勢力が3分の2以下となれば元も子もないからである。衆参同日選で衆参の圧勝を、である。北方領土返還と憲法改正の大義名分で国民に信を問うとして、である。政権選択選挙で、野党を惨敗に、である。

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