2018年9月22日 毎日「クローズアップ2018」「知事選告示」「沖縄の決断 国政に影響」

毎日の「クローズアップ2018」に「知事選告示」「沖縄の決断 国政に影響」が書かれている。

「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対した翁長雄志知事の死去に伴う同県知事選が13日、告示された。移設を進める安倍政権は、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)が沖縄振興を前面に出し、自民党総裁選直後の大型選挙に必勝を期す。一方、翁長氏後継を掲げる元衆院議員の玉城デニー氏(58)は、移設反対をてこに保守と革新が『結集』した前回選を再現しようと懸命だ。

≪先喜真陣営、争点そらし「追い上げ」≫

佐喜真氏は有権者の約2割を占める大票田・那覇市の中心部で第一声を上げ、『対立や分断からは何も生まれない。対話を通して県民の思いを(政府に)しっかりと伝える』と声を張り上げた。街宣カーの上では 佐喜真氏を推薦した公明党を含む与野党4党の幹部が並び、『政権との協調』ぶりを示した。菅義偉官房長官は13日の記者会見で『沖縄振興を真剣に考え、未来を担うのに誰がふさわしいかだ』と述べ、経済政策が争点だと強調した。

安倍政権の戦略は、与党系の勝利が相次ぐ県内の首長選と同様に『経済』を前面に押し出し、有権者の関心を辺野古移設からそらすというものだ。

特に、公明党が2014年の前回知事選で自主投票に回ったことが移設推進派の敗因になったと分析している。今年2月の名護市長選では『辺野古移設に賛否を示さない』作戦で、なお移設反対を掲げる公明県本部の協力を取り付け、支援する渡具知武豊氏を当選させた。

今回の知事選でも、公明は支持母体・創価学会トップの原田稔会長が現地に入るなど、組織がフル回転を始めた。静観した前回からは様変わりし、党関係者は『今、沖縄に行かなければ公明党・学会員にあらずという雰囲気だ。前回翁長さんへ流れた公明票を取り戻す』と息巻く。

翁長氏の『弔い合戦』が不利に働くと懸念する与党は、現時点でも『玉城リード』とみる。しかし与党一体で物量作戦を展開する中、自民党幹部は『差はこれからどんどん詰まるぞ』と『追い上げ』に自信を示した。公明側からも『不安材料は(16日に芸能界を引退する)安室奈美恵さんの動向くらい』と冗談めかした声さえ漏れる。

自民党は安倍晋三首相の総裁3選を見越した二階俊博幹事長ら党幹部が繰り返し現地入りし、小泉進次郎筆頭副幹事長も16日に入るなど総力戦を展開する。

閣僚の一人は知事選に勝てば移設に障害がなくなるとし、『移設論争に終止符を打つ』と力を込める。逆に佐喜真氏が敗れても、政府は移設工事を着々と進める方針だが、総裁選直後の大型選挙だけに政権は出だしからつまずき、来年の統一地方選や参院選にも懸念を抱えかねない。

ただ自民党は近年、選挙区が広い国政選挙になると野党や移設反対派に押されている。16年参院選は沖縄選挙区で現職が敗北し、17年衆院選でも4小選挙区のうち3選挙区を落とした。県内移設に反対し続けた翁長氏の死去で『辺野古』が改めて注目されており、与党の争点隠しが今回も奏功するとは限らない。

≪玉城陣営、「保守」「後継」演出腐心≫

『相手は政府頼み、補助金頼みで<保育料を無償化する>と言う。それは基地を認める約束あってのお金だ。ウチナーンチュ(沖縄の人)は政府に頼らず、自立の力を持っていると示そう』。玉城氏は13日夕、那覇市の県庁前に立ち、こう気勢を上げた。

玉城氏に先立ってマイクを握ったのは県内小売り・建設大手『金秀グループ』会長の呉屋守将氏(69)と、県建設業協会長を務めた経験もある建設会社会長の照屋義美氏(70)。いずれも陣営幹部だ。照屋氏は『ウイングを右に左に伸ばし、デニーと書いてもらおう』と呼び掛けた。保守系の経済人を前面に出した理由を、玉城氏周辺は『革新だけでなく、幅広い層に訴える演出だ』と明かす。選対本部長には、自民県連顧問も務めた元衆院議員の仲里利信氏を充てた。

沖縄保守の重鎮だった翁長氏は前回知事選で、『辺野古反対』の一点で保守の一部と革新が共闘する『オール沖縄』態勢を築いて大勝した。だが安倍政権は計画を見直さず工事を強行。県内の市長選で翁長氏系候補は与党系候補に敗北を重ねたうえ、保守系議員や企業が『革新色が濃くなったオール沖縄とは一緒にやれない』と次々に離脱した。自由党出身の玉城氏は『保守中道』を強調し、保守層のつなぎ留めに躍起だ。

玉城氏がもう一つ頼るのは故翁長氏の『残像』だ。『イデオロギーよりもアイデンティティー。県民の心を一つにする』。翁長氏が多用したフレーズを用いて『後継』を強く印象づけ、保革共闘の再現を狙う。ただ陣営幹部は『辺野古反対だけでは勝てない』と4年前との空気の違いを認め、経済政策や子育て支援も訴えるほか、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)による無党派層の取り込みにも注力する。

国政野党は、玉城氏が所属する自由党と共産、社民両党に加え、政権時代は辺野古移設を推進した旧民主党系の立憲民主、国民民主両党も玉城氏を支援する。ただし苦心する陣営に配慮し『そっと支えるのが一番』(国民の玉木雄一郎代表)と前面に出ない方針だ。

保守系の翁長支援者から『仕切りすぎ』と反発があった共産も裏方に徹する構えで、告示前のミニ集会では共産県議があえて党名を名乗らない『大人の対応』も見せた。

もともと沖縄に足場がある共産、社民を除くと、8月末に県連を設立したばかりの立憲や5月に結党した国民は現地組織が乏しいのも実情だ。立憲幹部は『与党は選挙戦にものすごく財力を投じている』とはがゆさを隠さない」。

佐喜真陣営は、前回の14年11月県知事選での10万票差をいかに逆転できるか、である。前回知事選で維新の下地市氏立候補し7万票を得たが今回はその7万票は先喜真氏に回る。差は3万票となる、問題は公明票11万票の行方である。前回は自主投票で7万票が翁長氏に回ったが、今回は10万票が先喜真氏に回る。佐喜真氏40万票、玉城氏29万票となり、佐喜真氏圧勝となるが。

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