2018年6月2日 産経「産経抄」「狂気理論」

産経の「産経抄」に「狂気理論」が書かれている。

「トランプ米大統領は、北朝鮮との核をめぐるやりとりを『難しいポーカー』と表現したことがある。オバマ前大統領は、ポーカーの名手として知られたが、核外交のゲームでは自分の方が一枚上との思いが強いのかもしれない

▼確かに先週切ったカードは、北朝鮮を震え上がらせた。来月12日にシンガポールで開催予定だった、米朝首脳会談の中止通告である。それまで会談中止をちらつかせ悪態をついてきた北朝鮮は、態度を一変させた。政府高官は対話を求める談話を発表し、ついに金正恩朝鮮労働党委員長自らが行動を起こした

▼韓国の文在寅大統領は昨日の会見で、26日に開催された南北首脳会談は、その前日に正恩氏から申し出があったことを明らかにした。正恩氏は、米朝首脳会談への『確固たる意志』を表明したという。トランプ氏はそれを確認すると、待ってましたとばかりに、米朝会談を当初予定通りの開催をめざす考えを示した

▼トランプ氏が尊敬するニクソン元大統領は、外交を何より得意としていた。ニクソン氏は自らの外交戦術を『マッドマン・セオリー(狂気理論)』と呼んだ。狂気のふりをしてまで、相手を恐れさせ譲歩を引き出すというものだ。それを受け継いだトランプ氏は、予測不可能な言動で、今のところ北朝鮮を翻弄している

▼ただ北朝鮮は、これまで幾度も裏切りを重ねてきた。米国が求める『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)』に簡単に応じるとはとても思えない。キッシンジャー大統領補佐官ほどの名参謀を持たないトランプ氏が、最後の詰めを誤る可能性もある

▼拉致被害者の帰国実現を急ぐ日本としては、会談失敗を含めたあらゆる事態を想定しておかなければならない」。

ニクソン元大統領の狂気理論を継承したトランプ氏の予測不可能な言動(狂気のふりをしてまで相手を恐れさせ譲歩を引き出す)が奏功している。金正恩氏が翻弄されている。大きく譲歩せざるを得ないが。

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