2017年9月21日 産経「主張」「小泉訪朝15年」「長く残酷な日々に決着を」
「決着の秋は近い」
産経の「主張」に「小泉訪朝15年」「長く残酷な日々に決着を」が書かれている。
「あれから15年がたつ。なんと長く、残酷な年月だろう。いつまで待てばいいのか。北朝鮮情勢が緊迫する今こそ、政府は膠着(こうちゃく)する拉致問題に決着を図るべきだ。
2002年9月17日、当時の小泉純一郎首相が訪朝して首脳会談を行い、北朝鮮の金正日国防委員長が初めて日本人の拉致を認め謝罪した。
蓮池薫さんら5人の拉致被害者は帰国したが、横田めぐみさんら8人は「死亡」と一方的に通告された。だが情報はあいまいなもので、後に松木薫さんと横田さんのものとして『遺骨』が提供されたが、日本側のDNA鑑定で別人の骨であると判明した。
被害者の家族を筆頭に、誰も死亡情報など信じていない。
14年5月のストックホルム合意で北朝鮮は、拉致被害者を含む全ての日本人に関する全面的な調査の実施を約束し、同年7月には特別調査委員会が設置された。
しかし、核・ミサイル問題での制裁措置を理由に委員会は解散し、これ以降、進展はない。
金正恩体制の北朝鮮は核・ミサイル開発を加速させ、15日にも北海道上空を通過するミサイルを発射した。被害者の家族らが懸念するのは、拉致問題が核・ミサイルの陰に埋没してしまうことだ。
横田さんの弟、拓也さんは今月訪米し、議員や国防総省の担当者に拉致問題解決への協力や、テロ支援国への再指定を求めた。
家族は必死である。その思いに政府は十分に応えてきたか。
拉致は、金正日氏が認めたように、北朝鮮の国家機関による犯罪である。何ら罪のない人々をさらい、自国へ連行し、被害者や家族を絶望のふちに追い込んだ。
犯行を認めた後も、肉親の安否を気遣い帰国を願う切なる気持ちに耳を貸そうとせず、担当者が『拉致問題には誰も興味がない』などと言い放つ。これほど理不尽で残酷な仕打ちがあるか。
北朝鮮には、核・ミサイルの放棄とともに、拉致問題の解決なしに一切の未来は描けないと認識させなければならない。そのための制裁強化でもある。
安倍晋三首相は20日、国連総会で一般討論演説を行い、北朝鮮に対する圧力強化の重要性を訴える。この際、非道な拉致問題の解決へ向けても各国の協力を取り付け、被害者全員の解放、帰国へ道筋をつけてほしい」。
主張の主旨である「長く残酷な日々に決着を」は、正論である。
決着の秋は近いからである。9月17日、小泉訪朝から15年たつが、小泉純一郎首相と金正日国防委員長とでの日朝平壌宣言は空文化はしているが、金正恩委員長は破棄宣言をしていない。父の遺訓でもあり、米朝国交正常化の次は日朝国交正常化を目論んでいるからだ。金正恩委員長は、金正恩体制の生き残りをかけて核・ミサイル開発に特化しているのである。体制保証を担保する米朝国交正常化を為したいがためである。
問題は、金正恩委員長が、トランプ大統領との仲介役を安倍晋三首相に期待していることである、安倍晋三首相は、15年前官房副長官で小泉訪朝に同行し、拉致問題、核・ミサイル問題一括解決の平壌宣言履行の歴史的責務が課せられているからだ。金正恩委員長と安倍晋三首相とでの「日朝平壌宣言」履行、日朝国交正常化である。2021年まで安倍政権が続投する歴史的意味はここにある。