2016年9月15日 日経「対談世論調査」

日経の「対談世論調査」の続き。

≪民意をどうくみ取る≫

――世論調査にはどのような効果があるのか。

松本氏 『毎日選挙をやれるわけではないので、選挙と選挙の間で時々の需要な政策課題を聞く。月に1度とか定点観測で内閣支持率を聞くのは意味がある。世論調査は公開されるので公共性を持ち、結果が一つの政治的な機能になる。

下村氏 『ものすごく大切にする。自民党は毎週1回、広報本部長が各社の世論調査を報告し、個々のテーマについての分析結果を発表する。世論調査によって選挙対策を打っているのが実態だ。甘利明経済財政・再生相が辞任した時の内閣支持率は下がらなかったことが報告され、安倍総裁は『へえ、関係なかったね』と話していた。

――世論調査に限界は。

下村氏 『報道機関の調査は選挙区ごとのサンプルが200~300だ。自民党が独自にやるのはその10倍で、より精緻にしている』。

――政治家は地元で民意をくみ取れているのか。

下村氏 『人によって相当違う。党内には当選1、2回の衆院議員が120人ぐらいいるが、次の衆院選で野党が候補者を1人に絞れば今の内閣支持率でも半分以上は負ける。風頼みの選挙をしてきたから、どうすれば負けない選挙ができるかを分かっていない。

松本氏 『議員には世論調査と選挙コンサルタント頼みの人が多い。地方議員でも、自分の選挙区のことをほかの人に調べてもらって知るような人がいる』。

――民意をくみ取る手段としてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)をどうみるか。

松本氏 『SNSを情報源に投票態度を決める人は少ない。むしろ世論を感知するためにSNSを使う人が増えている。先日、さいたま市内の高校生に聞いたところ、LINE(ライン)を使う生徒は96%もいた。そういう人たちにどうやってメッセージを伝えるのかが大事になっている』。

自民党にとって喫緊の課題は、次期衆院選までに、当選1,2回生120人の議員の組織基盤確保である。風頼みの選挙で当選してきたからである。思想武装が必須となる。

 

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