2016年9月15日 東京「政権交代に備え資質重要」「北大・吉田教授にポイント聞く」
東京に「政権交代に備え資質重要」「北大・吉田教授にポイント聞く」が載っている。
「巨大与党にどう立ち向かうのか問われている民進党。野党の役割を説いた『<野党>論』の著書がある北海道大の吉田徹教授(比較政治)に代表選のポイントを聞いた。
――民進党に求められていることは。『民主主義の強みは、別の選択肢が存在すること。安倍政権が永遠に続くわけではない。現時点で政権交代に備えた緊張感を持ち得るのは民進党だけだ。いつでも再登板できるよう肩を温めておく必要がある』
――新代表の条件とは。『政権担当能力を示すことだ。日本のように財政赤字が積みあがっていると政策的選択肢が狭まっているし、多数の国が関わる政策を進めざるを得ず、違いを出すのが難しい。だからこそ、トップの資質が重要。信頼感があり、快活で発信力が高い人が望ましい』
――何を打ち出すべきか。『政治で決められる部分が狭まっている分、理念や価値観の違いが重要になる。憲法や働き方、家族のあり方など道徳的価値が対立軸で、保守の自民党に対しリベラルの立場で競争するしかしないのではないか』
――党内にはさまざまな主張があり、まとまりがないと指摘されるが。『まとまれなければ選挙で勝てないだけ。意見が飛び交うのは歓迎すべきだが、最後に重しとしてまとめるリーダーの存在が欠かせない』
――立候補している3氏はどうか。『蓮舫氏の<女性>前原氏の<現実主義>玉木氏の<若い世代>と主張に多様性があることは評価したい。もっと論点を具体的にして議論を深めてほしい』
≪蓮舫氏依然リード、共同通信調査≫
共同通信社は民進党代表選の投票資格を持つ所属国会議員(147人)と国政選挙の公認内定者(118人)を対象に支持動向を調査した。10日現在で蓮舫代表代行が国会議員の過半数に迫る73人、内定者50人の支持を固め、大きくリードしていることが分かった。序盤に行った都道府県連幹部への調査でも蓮舫氏支持が先行していることが判明している。
前原誠司元外相は国会議員36人、内定者20人が推す。玉木雄一郎国対副委員長は国会議員23人、内定者の7人が支援する意向だ。
国会議員と内定者の2割が態度を『未定』または明らかにしていない。前原、玉木両陣営とも最後の追い上げを図っており、情勢はなお流動的な要素が残る。
蓮舫氏を支持するのは、岡田克也代表や長妻昭代表代行、玄葉光一郎選対委員長、安住淳国対委員長ら現執行部幹部が中心。非主流派の細野豪志元環境相も支援する。
前原氏は、山尾志桜里政調会長や原口一博元総務相のほか、非主流派の長島昭久元防衛副大臣や中間派の大畠章宏元国土交通相らが支持基盤。元民主党代表の小沢一郎生活の党共同代表に近い議員の支援も目立つが、広がりを欠いている。
玉木氏は、菅直人元首相や新井聡元国家戦略担当相、若手議員が推すが、推薦人以外への浸透が課題となっている。都道府県連幹部への聞き取り調査では、21都県連幹部が蓮舫氏支持と回答。前原氏は6府県、玉木氏5県だった」。
吉田氏が言う「新代表の条件」とは、政権担当能力を示すことは、正論だが、具体的にはアベノミクスの対案を示せるか、となる。二重国籍問題があっても蓮舫氏がリードしており、1回目の投票で決着がつきそうだが、蓮舫氏は「行革」を叫ぶのみで、アベノミクスの対案を示していない。野党共闘に流れるのは必然となる。問題は、共産党との共闘で政権担当能力を示すことになるのか、である。