2016年9月4日 読売 社説「『共謀罪』法案」「テロの未然防止に不可欠だ」

「テロ未然防止は国際的義務」

読売の社説に「『共謀罪』法案」「テロの未然防止に不可欠だ」が書かれている。

「世界中でテロの脅威が増大している。日本も抑止につながる対策を講じることが欠かせない。政府が、組織的な重大犯罪を計画した段階で処罰できる組織犯罪処罰法改正案をまとめた。9月の臨時国会に提出する方向で検討している。

過去に3度廃案となった『共謀罪』創設に関する法案を基に、適用対象を絞り込み、新たな構成要件を加えたのが改正案だ。共謀罪の名称は、『テロ等組織犯罪準備罪』に変更する。

2020年に東京五輪の開催を控える。テロ組織の犯罪を未然に防ぐために、必要な法整備を進めることは重要である。

共謀罪を巡っては、『労働組合や市民団体まで対象になる』『居酒屋で上司を殴ろうと意気投合しただけで罰せられる』といった批判があった。対象となる団体の定義や、どんな場合が共謀になるかが不明確だったことが要因だ。

改正案では、適用対象を単なる団体ではなく、組織的な犯罪集団に限定した。構成要件についても、犯行の合意だけでは足りず、化学テロに使う薬品を購入するなど、計画した犯罪の具体的な準備行為が必要になる。

国民の懸念を払しょくするためにも、捜査当局の恣意的な解釈で適用範囲が広がることがないような仕組みにしなければならない。

共謀罪の創設が議論されたきっかけは、00年の国連総会で、テロやマフィアなどの組織犯罪撲滅を目指す『国際組織犯罪防止条約』が採択されたことだ。条約は犯罪防止
に効果的な共謀罪を設けるよう、参加国に義務づけた。

これまでに187か国・地域が条約を締結したが、日本は未締結だ。現状のままだと、テロ集団などに対する国際包囲網に加わらない弱みにつけ込まれ、日本が狙われる可能性は否定できまい。

国境を超えたテロや麻薬密売、人身売買は後を絶たない。法整備によって、国際連携の枠組みに参加し、要注意人物などに関する情報の交換を緊密にできるようになる意義は大きい。

テロの封じ込めには、端緒の迅速な察知も求められる。5月に成立した改正通信傍受法により、傍受時の通信事業者の立ち会いが不要になった。ただ、日本では、特定の犯罪捜査を目的に、裁判所の令状に基づいて実施する『司法傍受』のみが認められている。欧州ではテロに関する情報収集としての『行政傍受』も行われている。この導入も検討課題だ」。

社説の主旨である「テロの未然防止に不可欠だ」は、正論である。

政府は、3度廃案になった「共謀罪」法案を「テロ等組織犯罪準備罪」法案と名称変更して、9月の臨時国会に提出方向で検討しているが、同法案の成立は国際的な義務だからである。そもそも共謀罪の創設は00年の国連総会で、テロやマフィアなどの組織犯罪撲滅を目指す「国際組織犯罪防止条約」が採択されたことによって、参加国に義務付けられたものである。これまでに187カ国・地域が条約を締結したのに、日本のみが未締結である。小泉政権時の03年、04年、05年に廃案となったからである。日本がテロに対する国際包囲網の最も弱い環となっている。2020年の東京オリンピックを控えて「テロ等組織犯罪準備罪」法案の成立は喫緊の課題となる。

問題は、「テロ等組織犯罪準備罪」法案反対を野党共闘の錦の御旗にとの動きがあることである。朝日を中心とする一部メディアも連動する。安保法制廃案と同じ動きである。テロの未然防止に不可欠な法案に反対するのは、テロリストを支援する側に立つこと同義となるが。共産党・朝穂を中心する左翼勢力にとって、同法案は、左翼勢力の本質がテロリストと同根であることを露呈することになり、民心離反の致命傷となるが。

 

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