2016年8月25日 読売「政治の現場」「民共融合」④ 「政策軽視の結集、限界」が書かれている。
読売の「政治の現場」「民共融合」④に「政策軽視の結集、限界」が書かれている。
「7月31日に投開票された東京都知事選で、民進、共産など野党4党が統一候補として推薦した鳥越俊太郎氏は保守分裂の好機を生かせず、3位に沈んだ。
『野党共闘の要は二つあり、一つは政党が中(支持層)を固めること。もう一つは、それを前提に浮動票の過半数を取ること。いずれもできなかった』
民進党の岡田代表は今月4日の記者会見で、野党共闘が機能しなかったことを率直に認めた。
読売新聞の出口調査では、鳥越氏に投票したのは民進支持層の約5割、無党派層の約2割にとどまった。都知事選直前の参院選では、4党は東京で計248万票の比例票を獲得したが、鳥越氏の得票数は約134万票。単純計算すると、4党の支持層から100万票超が逃げたことになる。
最大の敗因は、政策軽視の戦術だ。民進党は、告示直前に突如出馬の意向を示し、『まだ公約はできていない』と公言する鳥越氏を即座に推薦した。共産、社民両党も、過去2度の都知事選で支援し、早くから準備を進めてきた宇都宮健児氏ではなく、鳥越氏に相乗りした。
政策協定も結ばないまま、各党が『見切り発車』を決めたのは、『入念に政策を擦り合わせれば、各党の違いが露呈しかねない』(陣営関係者)との事情もあったようだ。鳥越氏が各党の共通政策である『改憲阻止』を理由に出馬表明したことも、共闘には好都合だった面がある。
実際の選挙戦では、鳥越氏の主張と民進党の政策との違いが際立った。
『東京を中心に250キロ圏の原子力発電所の停止・廃止を電力会社に申し入れる』(北区の演説会で)
鳥越氏は原発の停止や廃炉に踏み込んだが、『2030年代の原発ゼロ』を目指す民 進党は、責任ある避難計画の策定などを条件に、当面は再稼働を容認する立場だ。それでも民進党は異論を唱えなかった。
一方、『原発即時ゼロ』を主張する共産党は、党機関紙『しんぶん赤旗』で鳥越氏の発言を取り上げ、全面的に賛同した。
民進党の枝野幹事長は、この点を記者会見で指摘されても、『発言の詳細をうかがっていない。コメントは避けたい』と答えるのがやっとだった。
消費増税を巡っては、鳥越氏の発言は、さらにエスカレートした。伊豆大島での演説で、消費税率を『大島限定』で現行の8%から5%に引き下げる考えを披露したのだ。
民主党政権時に消費増税への道筋をつけた『社会保障・税一体改革』を主導した民進党だが、ここでも修正に乗り出さなかった。おおさか維新の会の橋下徹前代表はツイッターで『民進党は鳥越さんの公約を実現する覚悟があるのか。覚悟がなければ、鳥越さんにドクターストップをかけるべきだ』と指摘した。
民進党都連には、今なお執行部へのわだかまりが残る。元経済産業省官僚の古賀茂明氏の擁立で動いていたところを、野党共闘の枠組みを重視する岡田代表らが頭越しで鳥越氏推薦に向けた調整を始めたためだ。
党都連会長の松原仁・元国家公安委員長は『古賀さんの方が、都民が聞きたいことを語れて政策議論も深まったはずだ。魅力的な候補者だった』と無念さを隠さない。都連幹部の一人は『党本部は、鳥越さんは知名度があるから選挙戦術的に勝てると思ったのだろうが、かえって拒絶反応を起こした』と振り返る。都知事選は、政策の一致よりも、反自民票の結集を優先する『野党共闘』路線の限界を明確に示した」。
東京都知事選での野党統一候補としての鳥越氏惨敗は、野党共闘路線の限界を露呈するものとなった。東京での野党4党の参院選での比例票248万票から100万票超減の約134万票に終わったからである。敗因は政策軽視の戦略ミスである。鳥越氏の政策が共産党偏重となり、民進支持層の5割が離反したからである。次期衆院選で、政策の一致なき野合としての野党共闘となれば、同じく民進支持層の5割の離反は必至となる。2万の共産票が入ってもマイナスとなるが。