2016年8月25日 産経「共産浸食、民進党代表戦」②「連合、『敵』との共闘に忌避感」「民進の政策ゆがめてはならない」

産経の「共産浸食、民進党代表戦」②に「連合、『敵』との共闘に忌避感」「民進の政策ゆがめてはならない」が書かれている。

「民進党と同党最大の支持団体である連合との関係が揺らいでいる。原因は、連合と犬猿の仲として知られる共産党に民進党が急接近しているためだ。連合は7月の参院選で過去最高となる12人の組織内候補を擁立。民進党の集票マシンとして貢献したが、民進党の身内を軽視するような姿勢を前に、両者のすきま風は『嵐』に発展しかねない。

『共産党と一緒になるようなことはしてはいけない。岡田克也代表などに任せてはダメだ』

党代表選(9月15日投開票)への動きが活発化した7月22日。議員会館内で、旧民主党出身の平田健二元参院議長が細野豪志元環境相に語気を強めて詰め寄った。会談は、連合組織内候補に対する細野氏の支援へのお礼のためだったが、参院選の話題もそこそこに民共共闘に反対する候補者の擁立を求める平田氏に、細野氏は静かに耳を傾けるばかりだった。

共産党が次の衆院選でも民共共闘への秋波を送り続ける中、連合幹部は『共産党と組むことはあり得ない』と断言する。にもかかわらず、代表選に出馬表明した蓮舫代表代行も共産党との選挙協力に含みを残し、連合の不信感は募るばかりだ。

連合は、民社党支持の旧全日本労働総同盟(同盟)と社会党(現社民党)支持の旧日本労働組合総評議会(総評)が合流し、平成元年に発足。これに対抗し、共産系労組は全国労働組合総連合(全労連)を立ち上げた。連合と共産党とは歴史的にも敵対関係にある。

7月の参院選では、共産党候補が野党統一候補になった香川選挙区などで連合は自主投票を断行。共産党の地方組織と『脱原発』の政策協定を結んだ選挙区では、連合傘下の電力総連が猛反発した。

東京都知事選でも、連合東京は共産党が都政に関わることへの忌避感が強く、自主投票を決定した。連合関係者は、野党統一候補の鳥越俊太郎氏に関し『告示日にポスターを貼っただけで、街頭演説の動員要請は全て断った』と打ち明ける。

連合出身の民進党議員は『共産党との連携で、党内の政策議論が難しくなる』とも指摘する。連合は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を推進する立場だが、共産党は反対だ。連

合の神津里季生会長は、共産党との連携で『民進党の政策をゆがめてはならない』と警告。次期衆院選の対応も『他の野党に政策を示し覚悟を問わなければならない』と安易な共闘に陥らないよう戒める。ただ旧民主党幹部は『共産党票の恩恵を感じた議員は依存から抜け出せなくなる』とも指摘する。

連合は参院選比例代表で擁立した12人のうち8人を当選させた。民進党幹部は『連合と別離するようなことはない』とタカをくくるが、“浮気”が過ぎれば三くだり半を突きつけられる日がくるかもしれない。

≪連合会長・神津氏に聞く、共産とは信頼できる間柄になれぬ≫

連合の神津里季生会長に民共連携について聞いた。

――次の衆院選で民進党は共産党と連携すべきか

『今夏の参院選は安全保障問題について共通の考え方があり、野党の中心にある民進党に共産党が乗るという形だった。野党共闘はプラスに働いたところもゼロではないが、マイナス部分も相当あった。そこはしっかり見極めなければならない。ずるずる野党共闘という言葉が独り歩きするのは違う。衆院選は、本当の意味で基本政策の一致がなければ<共闘>という文字にふさわしくない』

――共産党は野党連立政権「国民連合政府」構想を掲げている

『連合は民主的な労働運動を行ってきた組織であり、歴史的な経過もある。共産党が党名と綱領を変えるような本当の変革を考えているなら別だが、共産党と互いに信頼できる間柄にはならない』

――民進党に期待する政策は

『旧民主党政権時代に掲げた子ども手当や高校授業料無償化といった政策は、これからの日本を考えれば大事なことばかりだ。今、子育て問題がクローズアップされており、方向性を打ち出したことは間違いではなかった。ただ、組織のガバナンス(統治)の問題で、国民があきれ果ててしまった。この傷は深い。民進党への不安感を振り払うことが非常に大事だ』

――民進党代表選が9月15日にある

『党勢回復には暗雲が垂れ込めたままだ。党のイメージも含め、暗雲を吹き払うような議論をしてもらいたい。代表選が無投票となることはよくない。国民が期待を持てる存在であることを代表選を通じ、発信してほしい。政権を担える政党になり得る可能性は十分あるはずだ』

――憲法改正議論や自民党との大連立については

『憲法はしっかりと議論すべきだ。参院選で改憲勢力が発議に必要な3分の2を占めた中で、一切議論しないという方がおかしいだろう。大連立は、条件が整うならばあっていい話だ』」。

民進党の最大の支持母体の連合は、次期衆院選での共産党との共闘に否定的だが、民進党議員の大勢は共闘へのルビコン川をすでに渡っている。1選挙区2万票の共産票なくして、当選できないからである。問題は、連合がそれでも民進党を支持するのか、である。それとも、見切りをつけて自民党を支持するか、である。

pagetop