2016年5月17日 日経「民進合流案、来週にも結論」「社民、党内になお異論」「支援労組は後押し」

日経に「民進合流案、来週にも結論」「社民、党内になお異論」「支援労組は後押し」が書かれている。

「社民党が民進党への合流に向けた調整に入った。7月の参院選に単独で臨んでも支持拡大が厳しいとみて、野党結集に応じて事態の打開をはかる狙い。かねて合流に前向きな支援団体の労働組合の意向も働く。社民党内は前身の社会党時代を含めて60年超の歴史に幕をおろすことに異論も根強い。来週にも結論を出す方針だが、意見集約が難航する可能性がある。

合流論の旗振り役は吉田忠智党首だ。12日午前、党本部で開かれた常任幹事会。参院選対応を巡る約1時間の議論の最終盤で、吉田氏は『民進党との合流を選択肢の一つとして考えなければいけない。合流の決断を提起したい』と表明した。

<統一名簿難しく>

同党は退潮傾向が続いている。党名変更後の1998年の参院選は比例代表で400万票超を得たが、2013年は125万票で1議席。16年の参院選では野党共闘で先細りの状況から脱したい考えは党内共通だ。

又市征治幹事長を中心に、複数の野党が比例代表の統一名簿をつくり連携する構想も進めている。だが、共闘を主導する民進党は参加しない方針を決定済み。12日の常幹で、吉田氏は『統一名簿を追求するが、難しいと考えている』との見解を示した。

安全保障関連法を違憲と指摘した小林節慶大名誉教授が参院選に向けてつくる新たな政治団体への参加についても議論した。選挙準備に必要な期間を確保するため、来週中に参院選対応の結論を出す方針だ。

吉田氏は民進党の岡田克也代表に電話で合流を打診済み。12日、岡田氏との会談について記者団に『条件整備ができれば会うことになる』と述べた。

吉田氏が合流の検討を進めるのは同党を支援する労組の意向もある。官公労系で最大労組の一つ、自治労は国政選挙で旧民主党と社民党を支援してきた。幹部が社民党に対し、旧民主党と維新の党の合流協議に加わるよう促した経緯がある。別の労組関係者は『支援先を一本化すれば体制も整えやすく、集票力が高まる』と話す。
<連合会長が歓迎>

自治労を傘下に置く連合は民進党の支持団体。神津里季生会長は日本経済新聞の取材に、合流案を『野党の受け皿を強化することにつながるのであれば望ましい方向だ。歓迎したい』と述べた。

ただ、党内には旧社会党から続く党の歴史へのこだわりも根強い。社民党は12日、合流案について『常任幹事会でそのような提案や決定は行っていない』とのコメントを書面で出した。

一方、民進党は12日の執行役員会で社民党の議論を見守る方針を確認した。民進党には、社民党の村山富市元首相の地元である大分県など九州や四国などで根強い社民党の集票力は魅力的だ。旧民主党時代からの党の基盤が弱い地域と重なるためだ。民進党が軸となる野党再編が次のステージに進むとの期待もある。

ただ、蓮舫代表代行は12日の記者会見で『政策の一致が大前提だ』とクギを刺した。社民党は福島瑞穂氏の党首時代、旧民主党政権で独立を組んだ10年5月、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)を辺野古に移設する日米合意に反対し連立を離脱した。

社民党は環太平洋経済連携協定(TPP)や憲法改正にも明確に反対の立場。民進党には保守系議員を中心に賛成論があり、明確な姿勢を示しにくい事情を抱える。保守系議員には『リベラル勢力が拡大しかねない』との懸念がある」。

社民党の民進党への合流は時間の問題である。社民党の最大の支持母体である自治労が、連合傘下であり民進党の支持母体であるからだ。社民党との合流によって民進党の旧社会党化が加速する。保守支持層の離反は決定的となるが。

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