2016年3月29日 朝日「日本会議研究」「憲法編」㊥「国民投票へ、賛同拡大運動」
朝日の「日本会議研究」「憲法編」㊥に、「国民投票へ、賛同拡大運動」が書かれている。
「初詣客でにぎわう年始、東京都杉並区の大宮八幡宮の境内。日本会議が主導する『美しい日本の憲法をつくる国民の会』のポスターが貼られ、『賛同署名』の用紙が置かれていた。
東京都神社庁は憲法改正の推進宣言をホームページに掲げる。神社本庁の田中恒清総長は日本会議の副会長で、国民の会の代表発起人の一人でもある。
<1千万人名簿>
国民の会は『現在の憲法は<占領憲法>だ』として、前文に伝統文化を書き込むことや、天皇を元首と明記することなどを主張する(パンフレットから)。活動の柱が『1千万賛同者拡大運動』。見すえるのは、国会で憲法改正が発議された後の国民投票だ。
投票数を6千万と設定。1千万人に2人ずつ声かけをしてもらうことで、過半数をうかがうが、日本会議幹部は『組織力がなければ、憲法改正に反対する<九条の会>などの運動に対抗できない』と話す。
国民の会の内部資料には『1千万人の名簿をもって、国民投票の際には、家庭訪問・電話作戦によって全国一斉に行動を開始する』とある。今月末の達成をめざす『1千万』の内訳はどうなっているのか。
『議員21万、神社5万の確約数』『神社4万、隊友会1万の確約数』……。『部外秘』と書かれた昨年10月の『賛同者拡大事務局通信』では、複数の県の報告の中に『確約数』との記述がある。日本会議の村主真人広報部長によると、いまは確約数という用語は使っていないが、国民投票に向けて『団体や個人が名簿の提出を約束した数も含めている』という。
集計の仕方は様々だ。日本会議国会議員懇談会の幹部の秘書は確約数について『協力団体が機関決定した数も合算している』と説明。東日本の『県民の会』の幹部は『会員の地方議員は、1人数百人として自動的にカウントしている』。また、別の日本会議関係者は『氏名の重複は精査していない』とする。
わかりやすい言葉で浸透を図ろうと、憲法改正集会では著名人も講師を務める。元力士の舞の海秀平氏は昨年10月の講演で『日本人力士は相手も真っ向勝負でくると信じてぶつかるから負ける。『<諸国民の公正と信義に信頼して>という憲法前文と同じことが相撲界でも起きている』と訴えた。今年2月からは作家の百田尚樹氏が総指揮を執った『憲法改正ドキュメンタリー』も上映する。
<議会では意見書>
これらと並行して、日本会議は2014年から、全国の地方議会で『憲法改正の早期実現を求める意見書』の採択を推し進める。
『33都府県議会、つまり70%の地方議会で、憲法の早期改正をという意見書が採択された。国民の間でも議論が広がりつつある』。今月、国会議員懇談会の憲法改正プロジェクトチームで、山谷えり子・前拉致問題相は採択数を国民的な議論の広がりだと紹介した。
地方議会の議決を重ねることで、憲法改正の機運を高め、国会議員に対して発議を迫る――。『地方から中央へと攻め上がる手法は、1970年代の元号法制化運動で成功を収めた』と村上正邦・元自民党参院議員会長は振り返る。
戦後、憲法の施行で旧皇室典範が廃止され、元号の法的根拠が失われた。これを取り戻そうと、村上氏らは各地に組織をつくり、地方議会決議運動で79年の元号法成立につなげた。村上氏は日本会議の結成に大きく関わった人物で、『生長の家政治連合』の出身だ。国民の会は昨年11月、47都道府県すべてに地方組織をつくり終えた」。
日本会議の課題は、憲法改正発議後の国民投票で過半数を得る組織力があるか、である。今月末に達成を目指す「1千万人」名簿が未だという現状では厳しいと言わざるを得ない。保守層の組織力強化には、思想武装が必須であるが。