2016年3月29日 産経「阿比留瑠比の極限御免」「野党共闘『反安保』は周回遅れ」
産経の「阿比留瑠比の極限御免」に「野党共闘『反安保』は周回遅れ」が書かれている。
「今や野党共闘の中核である共産党について、政府は22日の閣議で『現在も破壊活動防止法に基づく調査対象団体』『<暴力革命の方針>に変更はない』などと指摘する答弁書を決定した。今夏の参院選に向け、ソフトイメージを演出したい同党や、共同戦線『民共合作』を進める民主党などにとっては、さぞや困った答弁書だったろう。
『共産党も含めて5野党が力を合わせて安倍晋三政権打倒、戦争法廃止を掲げて選挙協力までやろうと今前進している。そういうものに対する不当な攻撃を加えたい意図を感じる』
共産党の山下芳生書記局長は22日の記者会見でこう強く反発したが、政府側は『治安当局がそのようにみているということだ』(菅義偉官房長官)とあっさりかわしていた。
<ボタンの掛け違い>
筆者は、この共産党は調査対象団体だとする答弁書を読んで、ある政治家を連想した。警視庁の監視対象だった東工大の学生運動のリーダー時代、機動隊と衝突して逮捕されるのを避けて常に4列目をキープしていたため『第4列の男』と呼ばれていた菅直人元首相のことである。
当時、警視庁警備第1課長を務めていた初代内閣安全保障室長、佐々淳行氏から、菅政権時代の平成23年6月にこんな後悔の言葉を聞いていたからだ。『捜査対象だった菅氏は人の陰に隠れるのがうまく、3列目まで捕まえたときでもあと一歩で逮捕には至らなかった。しかし、(菅氏が首相に就いて国のかじ取りをしている)今考えると、多少無理してでも逮捕しておくべきだった』
ボタンを一つ掛け違うか外したままにするだけで、後の社会に大きな影響を及ぼすことがあるという事例といえよう。そこで佐々氏に今回の政府答弁書について聞くと、こう指摘した。
『共産党は昭和25年、スターリン指令によって武装蜂起をし、火炎瓶闘争と呼ばれる暴力革命闘争を展開した。そのために、破防法がつくられた。彼らが、当時の行為を真摯に反省し自己批判しているだろうか』
佐々氏の最新著『私を通りすぎたスパイたち』には、実父の政治学者、弘雄氏とソ連のスパイとして処刑された朝日新聞記者、尾崎秀実氏との『友情』から米国で受けたスパイ摘発の訓練まで、さまざまな体験が生々しく描かれている。
<他国の謀略茶飯事>
外務省研修所で外務官僚らに『美女が近づいてきても、舞い上がってはいけない』と講義し、『ハニートラップ』に注意喚起したエピソードや、ソ連のスパイ事件をめぐり、現共産党幹部の親族が自首してきた話など、てんこ盛りの内容だ。
そして同時に、治安当局にとって他国の謀略や工作・介入が珍しくも茶飯事であるのが実感でき、危機感の薄い日本社会のあり方が空恐ろしくなる。
ただいずれにしても、共産党の狙いや本音がどうであれ、安全保障関連法の廃止を結集軸とする野党共闘は、筋が悪いと考える。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、安保関連法を『必要』と考える人の割合は同法成立後から増え続け、直近の19、20両日の調査では57・4%に上った。先月の共同通信の調査でも、『廃止すべきでない』(47・0%)が『廃止すべきだ」』38・1%)をはっきり上回っている。
民主党の岡田克也代表はこれまで『(法案に反対する)国民の声を聴いていない』と政府を批判してきたが、周回遅れで国民意識についていけていない。この問題は、もはや『勝負あった』のではないか」。
「野党共闘『反安保』は周回遅れ」は、正論である。民意の劇的変化である。産経・FNNの19,20日の合同世論調査で、安保関連法必要が57・4%となったからである。民意の約6割が安保関連法必要となっているのに、反安保での野党共闘は「時代錯誤」となるからである。「勝負あった」となる。