2013年7月24日

毎日の「余録」に「宝剣」について書いている。

「名だたる騎士たちが力をふり絞っても岩から引き抜けなかった剣である。しかし15歳の少年アーサーはたやすく引き抜き、神に選ばれし王となる。アーサー王伝説の宝剣エクスかリバーだが、実際にも欧州では剣がよく王権の徴となった。

なるほど日本にも草薙の剣があるが、西欧のほとんどの戴冠式では王がその剣を3度振り回すのがしきたりだったという。中世の戴冠の祈とうでは、剣は『正義の力を強め……慈悲深く、寡婦と孤児を助け守るもの』だった(A・M・ホカート著「王権」岩波文庫)。

さて一度は抜きそこなった参院選勝利の宝剣を、今度はすんなり引き抜いてみせた安倍晋三首相だった。衆参両院での与党多数を手に入れてねじれを解消し、神意ならぬ民意に選ばれた最高指導者の座を確たるものにした。

振り返れば、約1年ごとに首相の交代を繰り返してきた日本の政治だった。国民の支持も期待も、なすところなく空費する政治に有権者もへきえきしていたところである。この半年余の安倍政権を見ての審判は、ともかく政権安定の宝剣を委ねようというものだった。

ならば首相は『選ばれし者』の徴をどう用いるのか。さしあたり不人気でも長い目でみて必要な改革ならば自らの手で実行せねばならないし、これから長きにわたって国民の運命を左右する決断も迫られよう。責任の重さは宝剣を授からなかった首相らの比ではない。

『あなたがたは神に選ばれし者であるから……慈愛、謙遜、柔和、寛容を身につけなさい』とは王も読んだろう聖書の一節である。民意に選ばれし者もそれらを忘れては歴史的な重責を果たせまい」。

「一度は抜きそこなった参院選勝利の宝剣を、今度はすんなり引き抜いて見せた安倍晋三首相だった。衆参両院での与党多数を手に入れてねじれを解消し、神意ならね民意に選ばれた最高指導者の座を確たるものにした」は、正論である。問題は、「黄金の3年」、宝剣をどう用いるか、である。神意である民意に聴くべきである。

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