2026年10月9日 米中会談の着地点
トランプ米大統領と中国習近平国家主席がホワイトハウスにて会談を行った。
トランプ大統領は盛大にもてなしたが、安全保障政策に於いては中国の急速な軍事力拡大に対して温度差は感じられる内容である。
象徴的な事案は核戦力の中の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)開発である。
アメリカシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)によると中国のSLBMの試射発射に於いて模擬弾頭を搭載し南シナ海から約7300キロを飛行して南太平洋に着弾したと報告している。中国軍は非公表であるが中国メディアによると最新型で射程1万キロ超の(JL3)ではないかと報じている。
最新型の性能が額面通リなら南シナ海からアメリカ本土に届き、南シナ海は水深もあり発見しにくい潜水艦から発射が可能なら核抑止力向上になる。
アメリカとしても南シナ海から直接本土に核ミサイルが発射となれば、戦略変更を余儀なくされるだろう。かつてアメリカ上院公聴会で米インド太平洋軍司令官が2027年に台湾有事が起こると予想していたが、仮に台湾有事に介入となれば増々難しい展開が予想される。
中国の核弾頭保有数は年初頭の時点で620発、アメリカの3700発とは大きく差はあるが習主席の「戦えて勝てる軍、中国軍を今世紀半ばまでに世界一流の軍隊にする」との号令のもと着実に増強している。
そのような中国軍内部にもマイナス要因は出てきており幹部たちの汚職による失脚が相次いでいる事である。中央軍事委員会では、制服組トップの張・中央軍事員会副主席など5人が失脚したようだ。習主席は軍幹部を集めた研修会に於いて「私利を図り腐敗する一切の思想と行為は党の性質と目的に完全に相容れない」と発言している。
これらの背景のなか日本は中国を念頭に防衛力強化の方向にシフトしており防衛予算も増額している。有事への備えは確かに必要ではあるが軍拡競争になれば際限がなくなり、近隣地域の緊張を高める事にもなる。今回の米中会談ではアメリカは中国との対立を避け穏便な方向を模索しているように感じる。高市政権も外交努力を更に深めてもらいたい。

