2019年4月5日 産経 主張「クリミア併合5年」「露の暴挙を忘れてはならぬ」

産経の主張に「クリミア併合5年」「露の暴挙を忘れてはならぬ」が書かれている。

「ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を一方的に併合して18日で5年となる。

ロシアはこの間、自国本土からクリミア半島に架橋し、現地に発電所を建設するなど実効支配を強めてきた。ウクライナの領土を強奪した暴挙を日本と国際社会は決して許してはならない。

ウクライナでは2014年2月、首都キエフなどでの大規模デモで親露派政権が崩壊し、親欧米派が実権を握った。クリミア併合は、これに怒ったプーチン露政権が強行したことだった。

プーチン政権は、ロシア系住民の多いクリミア半島に軍の特殊部隊を投入し、行政庁舎や議会、テレビ放送拠点といった中枢施設を占拠させた。その上で『キエフには民族主義のファシスト政権が発足した。ロシア系住民には危険が迫っている』といったプロパガンダ(政治宣伝)を行った。

ロシアは、クリミアで同年3月に行われた住民投票で『ロシア編入』が支持されたと主張する。しかし、ウクライナ憲法に反し、武力を背景に行われた投票を認められないのは当然だ。

旧ソ連で第2の構成国だったウクライナは1994年のブダペスト覚書で、核兵器を放棄する見返りに、米英露から安全保障の約束を得た。ロシアがこの合意を踏みにじったことの悪影響は、核不拡散の面でも重大だ。

プーチン露大統領が、クリミア併合に際し、核戦力を臨戦態勢に置く用意があったと発言した事実も忘れるべきでない。

ロシアは2014年春、クリミア併合の余勢を駆って、ウクライナ東部でも親露派武装勢力を支援して同国軍との戦闘をたきつけた。この紛争は1万人超の死者を出し、今も終結していない。

昨年11月にはクリミア半島の近海で、ロシアの沿岸警備艇がウクライナ海軍の艦艇に発砲し、3隻を拿捕した。ロシアは乗員24人の拘束を続けている。

クリミア併合は現在進行形の問題であるとの認識を持ち、対露制裁を維持する必要がある。

武力による現状変更という意味で、クリミア併合は北方領土問題と同根である。中国が、南シナ海の人工島で軍事拠点化を進めていることも然りだ。北方領土問題を抱えているわが国こそが、クリミア併合を厳しく糾弾せねばならない」。

主張の主旨である、「露の暴挙を忘れてならぬ」は、正論である。

ロシアがウクライナ領のクリミア半島を武力で併合して18日で5年を迎えるが、国際法違反であり、「武力による現状変更」は許されるべきではない。武力による現状変更は、中国による南シナ海の人工島での軍事拠点化、北方領土問題も同じであり。同根である。

問題は、クリミア併合が現在進行形であることだ。ロシアは18年5月、同国とクリミア半島を隔てる海峡に全長18キロの橋を完成させ、海峡両岸が事実上ロシアの支配下となり、ウクライナ船舶の自由な航行が制限されている。一方、ウクライナ東部でもロシアの支援を受けている反政府勢力が一部を占拠し、政府軍との衝突が続いている。今月31日には大統領選挙が行われるが、現職の反露のポロシェンコ大統領の支持率が伸び悩んでいる。ポロシェンコ大統領再選が国際社会の至上命題となるが。安倍晋三首相も、ポロシェンコ大統領支持を旗幟鮮明にすべきである。

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