2016年3月29日 朝日 社説「政府と沖縄県」「分断を埋める協議に」
「早期の新たな訴訟の判決の確定を」
朝日の社説に「政府と沖縄県」「分断を埋める協議に」が書かれている。
「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる裁判の和解を受け、政府と沖縄県がきのう初めての協議に臨んだ。この協議を両者の分断を埋める機会にしなければならない。そのためには互いの問いかけに正面から答え、接点を見いだす努力が求められる。
だが残念ながら、初回の協議はすれ違いに終わった。菅官房長官は『辺野古が唯一の解決策』との姿勢を変えなかった。これに対し、翁長雄志知事は『辺野古が唯一の解決策というかたくなな固定観念に縛られないで、真摯に協議を進めるよう求めた』と語った。
考えるべきなのは、地元の理解と協力を欠いた安全保障の基盤は脆弱にならざるを得ないということである。
県との合意が得られないまま辺野古に新基地を造っても、沖縄の米軍基地は安定的な運用ができなくなる恐れがある。日本の安全保障は、かえって不安定な状況に陥りかねない。
政府がいま、なすべきは、県との協議にかかる期間を生かし、安倍首相が2013年末に仲井真弘多・前知事に約束した『普天間の5年以内の運用停止』の実現に向けて、具体的な検討に入ることだ。
辺野古移設が実現するとしても、どんなに早くても2022年度以降。それまでの間、普天間の危険性除去が棚上げされることがあってはならない。
政府はこれまでも普天間の機能の分散を進めてきた。これをさらに進め、県外・国外への分散を真剣に検討すべきだ。そのためには、本土の自治体とも話し合い、米国とも協議に入る必要がある。
そうした姿勢こそ、政府に求めたい。
政府はきのう、沖縄本島北部に広がる米軍北部訓練場の半分あまりの早期返還について、県との協議を提案した。96年の日米特別行動委員会(SACO)の最終報告に盛り込まれたが、実現していない案件だ。
沖縄の負担軽減に努めるのは当然だが、辺野古移設とは別問題である。両者を関連づけ、地元に無用の混乱を招かないよう丁寧な議論をしてほしい。
和解後の政府の姿勢にも疑問がある。政府は県との協議を開く前に、辺野古埋め立ての承認取り消しを撤回するよう翁長知事に指示した。和解条項に盛られた手続きだとはいえ、真の和解を望む態度とは程遠い。
今回の協議を、新たな訴訟の判決が確定するまでの問題の先送りに終わらせてはならない。政府の責任は極めて大きい」。社説の主旨である「分断を埋める協議に」異論がある。
「新たな訴訟の判決確定を」が正論だからである。協議は平行線で終始するからである。菅義偉官房長官は「辺野古が唯一の解決策」との姿勢は変えることがなく、翁長雄志知事は「辺野古が唯一の解決策当かたくな固定観念に縛られないで、真摯に協議を進めるよう求めた」からである。
問題は、分断を埋める協議を促した和解条項である。協議が合意に至らなければ、新たな訴訟を容認、その判決には、政府と県双方が従うとなっている。政府が勝てば、その後の県の訴訟はできず、辺野古埋め立て承認は確定する。100%、政府が勝つから、早期の新たな訴訟の判決の確定を、となる。