2014年8月26日 読売「語る、夏政権に望む」で、金丸恭文氏が「じり貧農業、過激に改革」

読売の「語る、夏政権に望む」で、金丸恭文氏が「じり貧農業、過激に改革」を述べている。

金丸氏が座長を務めた政府の規制改革会議の農業作業部会は、農協組織の頂点に立つ全国農業協同組合中央会(JA全中)の抜本改革に向けた流れを決定づけた。

「座長に指名されるまで、農業に関わったことは全くありませんでしたが、『深刻な問題を抱えた産業』という風に思っていました。作業部会で、農協法に基づくJA全中の指導権限の見直しなどを柱とする改革案をまとめたことについては、いまだに農業関係者から『過激だ』と言われます。

しかし、日本の農業に関する指標を見ると、生産額や農家の所得、作付面積、耕地利用率など、数字は落ちるばかりです。基幹的農業従事者のうち、39歳以下の割合は5%に満たない。農家は将来に期待が持てないため、子供に継がせようとしないし、子供も継ごうとしない。若者から見て、普通の就職先候補になっていないことが、農業の現場が抱える本質的な問題です。日本農業がじり貧になっていく中、大胆な手を打たずに現状維持に固執することの方がむしろ『過激』ではないでしょうか」。

政府は来年の通常国会で農協法を改正し、JA全中を一般社団法人などの新組織に移行させたい考えだ。

「JA全中は地域農協などから年80億円の運営費を上納させていますが、現場の農家が本業の農業で儲かるような『指導』はほとんどできていないように見えます。そもそも農業は地域ごとに事情が異なり、全国一律の政策は取りづらいからです。全中のような中央組織は小さな本社であるべきです。

一方で、現場に近い地域農協は、農業者の創意工夫に応えるため、リスクを取れる組織に変身しないといけません。農家も地域農協も自らが主役であるという発想を持つ必要があります。

例えば、狭い農地では少量でも付加価値の高い作物、広い農地では生産性を高めてローコストを追及する。二つのモデルをうまく組み合わせて行くことが必要です。また、耕作されていない農地は『農地中間管理機構』に集約し、攻めの農業をけん引できる大規模農家などにどんどん貸せばいい。国は、やる気がある農業者が自由に活躍できる環境を作るべきです」。

安倍首相は、農業分野を含む『岩盤規制』の見直しに強い意欲を示している。

「若者や女性が働く意欲を持つような農業に変えていかないといけない。9月に予定されている内閣改造後の新体制がリーダーシップを発揮し、農業改革を引っ張ってほしい。

農相については、農業に詳しい人である必要はありません。今の農業のじり貧状態は、いわゆる農業の専門家と言われる人たちが招いたことです。使命感を持って政策を実行できる人を期待します。安倍首相は『地方創生』にも力を入れていますが、地方の活性化を考えたとき、基幹産業の有力候補になるのは農業です。その際、生産だけでなく、加工、流通・販売まで一体的に行う『6次産業化』を図る、地方が主役のビジネスモデルができていけばいいと思います」。

「地方創生」のカギは、過激な「農業改革」に尽きるのであり、具体的には、来年の通常国会での農協法改正による全中の事実上の解体である。岩盤規制改革の本丸である。自民党農林族との戦いになり、自民党をぶっ壊す戦いとなる。改革派勢力の結集が急務となる。4月の統一地方選の争点が、「全中解体」の是非となる

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