2018年2月1日 朝日 社説 「野党質問削減」「理なき与党の強硬姿勢」

「理ある与党の強硬姿勢」

朝日の社説に「野党質問削減」「理なき与党の強硬姿勢」が書かれている。

「今年度補正予算案を審議する衆院予算委員会での質問時間を『与党3対野党7』にすることで与野党が折り合った。

民主党政権時代から続いてきた『2対8』を、昨秋の特別国会で『36対64』としたのに続いて、再び野党分を削った。

昨年の衆院選で大勝した自民党の強硬姿勢が続く。

これ以上、野党の質問を削減すべきではないし、この比率を固定化してもならない。

国会での質問時間を野党に手厚く割り振ってきたことには、大きな意味があるからだ。国会議員は全国民の代表であり、質問の機会もできるだけ均等であるべきではある。同時に忘れてならないのは、議院内閣制のもとで、政府と与党は一体であるということだ。

政府の法案は国会提出前に、与党の事前審査で了承を得ている。与党議員はそこで説明を受け、質問をし、意見を反映させている。だから国会で法案の問題点をただし、修正を求める役割は、もっぱら野党が担うしかない。

与党には『与党の主張も国民に理解してもらいたい』『若手の出番が少なくて、仕事をしていないと思われる』といった声があるが、同意できない。

昨年の特別国会を思い起こそう。質問者の自民党議員が、首相の外国首脳との会談の多さを絶賛しつつ、言った。『こういう状況が生まれているということは、御本人は言いづらいでしょうから。別にヨイショしているんじゃないんですよ』

行政府に対する立法府の緊張感など、まるで感じられない。そもそも削減の動機も不純である。

与党が『5対5』を言い出したのは昨夏の閉会中審査のときだ。森友学園と加計学園の問題で、首相への野党の追及を少しでも弱めたい、という意図が出発点からにじんでいた。

特別国会では『前例としない』ことを条件に、野党が削減を受け入れた。それなのに自民党幹部はいま『少数政党への配慮にも限度がある』と言う。数の横暴である。

党首討論の定例化や閣僚の国会出席の負担軽減、野党の対案の審議のあり方など、与野党が協調してすすめるべき国会改革の課題は多岐にわたる。

それらを話し合う与野党の協議こそが求められているのに、野党質問の削減だけに力を注ぐ与党の姿勢には、理がない。このまま野党の質問削減が続けば、国会審議は空洞化し、行政府に対する立法府の敵視機能は低下するばかりだ」。

社説の主旨である「理なき与党の強硬姿勢」に異論がある。衆院予算委での質問時間を「与党3対野党7」で与野党が折り合ったが、社説では「これ以上、野党の質問を削減すべきはないし、この比率を固定化してはならない」と、野党質問削減に反対である。その理由として、国会議員は全国民の代表であり、質問の機会もできるだけ均等であるべきだを上げている。

問題は、日本が議院内閣制であることだ。当然、政府と与党は一体である。全国民が選んだ多数派の与党によって首班が構成されるからである。政府の法案は与党の事前審査で了承を得ているが、国会での審議において、国民が見える形で与党側からの賛成意見があって然るべきである。政府・与党案だからである、衆参両院で与党は過半数以上を制しているのだから、質問時間は与党5、野党5が筋となる。議会制民主主義の大原則である多数決に拠ってである。「数の横暴」との批判は、議会制民主主義の全否定となるが。理ある与党の強硬姿勢となるが。

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