海江田万里 インタビュー全文

漢詩について

漢詩はみんな、必ず中学や高校で習っているんですよ。だけどはっきりいってその授業、私も昔受けましたけども、あんまり面白くないんですよね。
というのは、学校ですとどうしても、漢詩の中でもお酒の話だとか恋愛の話だとか、いい詩がたくさんあるんですけど、それらはほとんど取り上げられませんね。
それで、花鳥風月だとか、自然の話だとか、「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」とか、とにかく一生懸命準備・勉強しろと、そういうような話ばかりテーマに取り上げるから、だから漢詩はつまらない。

それから、たとえば学校で習った「春眠暁を覚えず、処処啼鳥を聞く、夜来風雨の音、花落つること知る多少」という詩があると思うんですけど、これだっていろんな意味があるんですよ。
「春眠暁を覚えず」、学校では「春になって暖かくなったから、いつまでも眠っていられる。庭に出てみると、昨日の夜は風が強く吹いたからきっと花がたくさん落ちただろう」と、まぁこういう解説なんです。
けれど私が解説すれば、この人はなんで朝ゆっくりと寝ていられるかというと、いろんな事情があって、一つは定年退職して会社勤め、昔でいうと役所勤めを辞めたんですよ。あるいは自分で、もう役所勤めは面白くないから、もう自由に生きるんだといって辞めたわけですよ。
昔の役所勤めっていうのは、日本も奈良時代なんかはそうですけど、中国でも、けっこう朝早いんですよ、役人は。それこそ本当に朝6時とか5時とか、出かけていくわけです。
だけど自分はもう辞めちゃったわけだから、朝寝ができるんだと。役人でいた時期は肩肘張って、朝も早くから行って、窮屈だったけども、俺はもう今日から自由人だ、ゆっくり朝眠って、鳥の声をゆっくり聞くことができる。
こういう、自由な気持を謳った詩だと、私はそういう解釈をしているんです。

もちろんいろんな解釈が成り立つわけですけど、そういうような解釈をあんまり学校で習った覚えはないし。
そういう意味では、本当は漢詩というのは面白いものなんです。だけどそれは今の学校の漢文の授業で、面白くなくしているんじゃないかということ。

私は東海大学のエクステンションセンターという、若い人じゃなくて、リタイアした人達を中心に、私なりの漢詩の読み方を講義していますけど、結構みんな面白いって言ってくれますね。
若い人達も、最初からあんまり固い解釈ばかりじゃなくて、私の解釈のような、面白いというか、いろんな見方があるから、いろんな見方で漢詩を読んでくれると、きっともっともっと好きになるんじゃないかなと思います。

高校生にわかる政治・経済

高校生にわかる政治経済というのは、今年の夏の参議院の選挙で有権者が18歳以上になりました。やっぱり若い人にもっともっと政治や経済に興味を持ってもらおうということで始めたんです。
そうしましたら意外と、高校生じゃなくて、大人の方やお年寄りの方が読んでくれていて、いろんな意見も聞かせてもらっています。
それはそれで、私はいいと思っているんです。ただ気持はやっぱり、若い人達が政治経済にもっともっと関心を持ってくださいと。
自分では無関心でいても、政治は若い人達を全部巻き込みますから。自分では無関心だと思っていても、向こうは無関心じゃないですね。若い人に借金を押し付けたりとか。
それからいろんな形で、たとえば安保法制という法制ができましたけど、これはやっぱり今すぐにということではないけれど、徴兵制なんかになればそこに行くのは若い人達ですから。やっぱりそういうことに自分は無関心でいても、政治のほうは若者に対していろんな義務だとか、もちろん権利もありますけど、そういうものを押し付けてくるということです。

そして、政治塾というのは、若い人達に単に勉強するだけじゃなくて、できたら
勉強して、まず自分の意見を持ってもらいたいというのが狙いです。
それと同時に、ゆくゆくは政治に興味・関心を持ってもらったら、自分でも立候補しようと、区議とか都議とか国会議員とか、そういう人材も育てたいなと思っています。

タレント議員の強み・影響力

タレントという本来の意味は才能があるという意味ですから、そういう意味で言えば非常に大事なことだと思います。
もう一つはやっぱりテレビやマスコミによく出ることがありますから、そうすると知名度というのがあるんですね。知名度というのは選挙をやる時に非常に有利に働きます。
けど、やっぱり知名度もあるんだけど、その知名度に溺れてしまってはいけないんですね。
よく「発信力」ということを言われるでしょう。だけど発信力というのも、僕はちょっと考えものだと思うんです。たとえば犬が人間を噛んでも、これは話題にならないですね。だけど人がそこいらにいる犬に噛み付いたら、これはニュースになるんですよね。ニュースっていうのはそんなもんだと思っているんです。
いい時はどんどん持ち上げてくれるけれど、悪い時は袋叩きにあいますからね。それが今のマスコミだというふうに思っています。
そういうことを分かった上で、そういう袋叩きにあった時もちゃんと生き長らえるように、耐え忍べるような力を付けなきゃいけないなと思っています。

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