ウィル・スミスの平手打ち事件

2022年3月31日 高野育郎 - グループアム代表 -
米国のアフリカ系俳優ウィル・スミスが、同じくアフリカ系のコメディアン、クリス・ロックに公衆の面前で平手打ちをくらわした。

アメリカの映画芸術アカデミー主催のアカデミー賞授賞式のハリウッドの会場でだ。

クリス・ロックは司会をつとめる進行の過程で、ウィル・スミス夫人のヘア・スタイルを茶化した。ほぼ坊主頭の彼女のヘア・スタイルは癌の放射線治療ゆえのこと。そのショート・ヘアならば、デミ・ムーアが演じた「G.I.ジェーン」の女性兵士の役でもやればいいというような軽口をたたいた。

さて、少し間があって、おもむろに壇上にあがったウィル・スミスは闘病中の妻を侮辱したロックに一発見舞うという挙に出た。

このご時世、アカデミー委員会はウィル・スミスに何らかの懲罰を課すということが、メディアで報じられた。それよりも、クリス・ロックのような程度の低いコメディアンを司会に起用しているアカデミー協会側の見識は問われないのか。

ウィル・スミスの暴挙のほうが抑制された見識のような気がする。ただ、暴力はいけないというお題目を超えての平手打ち。

あのタイミングであれば、圧倒的なフック一発のノック・ダウンもありえただろうが、平手打ちでとどめたのは、身内がたとえ言葉であろうが、傷つけられたことへの抗議ではないか。

暴力の是非はもちろんのことだが、むべなるかなである。
pagetop