2015年3月29日 朝日「中国主導の投資銀、韓国参加」「日本、苦しい立場に」
朝日に「中国主導の投資銀、韓国参加」「日本、苦しい立場に」が書かれている。
「中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、韓国が参加を決めた。アジアのインフラビジネスを競い合うライバル国の決断で、参加に慎重な姿勢の日本政府は、苦しい立場に立たされた。
26日夜、『韓国参加』の一方を聞いた日本政府高官は、『韓国が入ることは織り込み済み。もし米国が入るというなら、日本が入らないという選択肢はない』と語った。別の高官は『最終的には6月』と、AIIBの組織運営などが固まる6月をにらみ、参加の是非を見極める考えを示した。
日本は当初、中国の台頭を警戒する米国と足並みをそろえ、参加に慎重な姿勢を示してきた。だが、英国やドイツなどG7諸国が次々と参加すると、麻生太郎財務相らから、条件を満たせば参加もありうるとの発言が出るようになった。
米国と安全保障上のつながりが深い韓国が中国になびいたのは、経済的利益にかなうからだ。韓国は発表文で『建設、通信、交通などのインフラ事業に、経験豊富な韓国企業がより参加できるようになる』とした。日本企業はアジア市場の発電所建設などの入札で韓国企業と争うことが多い。経済界にとって韓国の参加はひとごとではない。経団連の榊原定征会長は23日、『まず政府の議論を見守る』としたうえで、『日本企業が競争上不利にならないような対応が必要だ』と述べた。経産省はAIIBの参加に前向きで、政権内でこうした声が強まる可能性がある。
<トルコも参加表明>
中国国営新華社通信は26日夜、韓国のAIIBへの参加を速報で報じた。この日はトルコも参加を表明。中国国有メディアは、AIIBに各国がなだれを打つ状況を連日、報じている。
中国にとっては、政治的な対立を抱える日本と異なり、韓国とは近年、政治的にも急接近中だ。それだけに参加を最優先で説得したい相手が、韓国だった。
昨年、ソウルや北京で開かれた習近平主席と朴槿恵大統領の首脳会談で、習氏はAIIBへの参加を強く求めていた。今月21日にソウルで開かれた中韓外相会談でも、議題となった。
AIIBが『地域内』と位置づける韓国と豪州には、米国が参加を見送るよう、はたらきかけてきたとされる。韓国の参加は、米国の盟友をめぐる米中間の『綱引き』でも、中国が勝利したことになり、最終的な意思表明をしていない豪州の判断にも影響を与えるとみられる。中国はさらに、日本にも『交渉の状況は逐一、伝えている』(楼継偉財務相)として参加をはたらきかけている。
習氏は28日、中国が『アジア版ダボス会議』と位置づける国際会議のボアオ・アジアフォーラムの開幕式で演説し、各国にAIIBの理念を訴える構えだ]。豪州もカナダも参加しそうな流れである。日米が孤立化するが、安倍首相は最後まで米国と共同歩調を取るべきである。日本の取り込みが最終の狙いだからである。72年の田中角栄首相の日中国交正常化と同じ轍を踏んではならない。