2015年2月18日 日経「TPP交渉へ米大統領に権限」「貿易促進法案に追い風」

日経に「TPP交渉へ米大統領に権限」「貿易促進法案に追い風」が書かれている。

環太平洋経済連携協定(TPP)の妥結のカギを握る重要法案の審議を進めようとする動きが米国で活発になってきた。通商交渉で大統領に強力な権限を与える貿易促進権限(TPA)法案だ。自由貿易の支持派が多い共和党と、TPPを実績にしたいオバマ政権の意向に重なる部分は多い半面、議会内の抵抗派の存在感はなお大きく予断を許さない。

1月下旬にオバマ大統領が一般教書演説でTPAの早期可決を求めた直前、米通商代表部(USTR)のフロマン代表やプリツカー商務長官ら閣僚を乗せたリムジンが次々とホワイトハウスに乗り付けた。閣内に秘密裏に立ち上げた『TPAタスクフォース』の顔合わせだった。米政府筋は『閣僚全員が親しい連邦議員を片っ端から説得する』と狙いを語る。

議会にも前向きな変化が出てきた。共和の重鎮でTPP推進派のハッチ上院財政委員長は『TPAの修正法案を近く出せる』と言明した。下院で1月から歳入委員長に就いた共和のホープ、ライアン議員は近く日本やマレーシアなどTPPの関係国を歴訪する。安倍晋三首相とも意見交換する予定だ。ライアン氏は今月13日、記者団に『TPAが最優先だ』としたうえで『TPPを今秋に合意させるためには、TPA法案を夏までに通す必要がある』と語った。

TPPを政治的な遺産(レガシー)としたオバマ氏と同様に、昨秋の中間選挙で圧勝した共和も経済分野で骨太の結果を残したい。共和は自由貿易派で親日家のハッチ、ライアン両氏を要職に起用した。議会指導部を刷新した効果もあり、ようやく推進の歯車は回り始めた。

オバマ政権のゴールは年内のTPP決着だ。それには今春に日米の大筋合意で弾みをつけ、TPAも『ぎりぎり6月には成立の必要がある』と米当局者はみる。

『外圧』も強まる。米国との農業自由化交渉が難航するカナダや、国有企業の改革を巡り対立が激しいベトナム、マレーシアなどは『オバマ氏の交渉の権限が不明確だ』と主張してきた。

米議会全体を見渡せば結束にはほど遠い。上下も、TPAの採決で相当数の造反が予想される。『可決には下院で約60人、上院では10人ほどそれぞれ民主からの賛成票が必須だ』。共和幹部は米当局者にこう伝えた。

共和でも保守強硬派の『茶会系』議員を中心にオバマ氏の権限強化につながるTPAには反対論も強い。民主リベラルと共和保守派による『奇妙な連携』も浮上する。

薄氷の票読みを乗り切るには、オバマ氏が身内の民主リベラル派を説得してどこまで翻意させるかにかかってくる。多くの関係者はオバマ氏の指導力に半信半疑だ。

日米交渉の『実態はほぼ終結に近い』(関係者)との声が漏れる。ただTPAのメドがたたない中で日米だけ先に決着すれば12カ国全体の交渉はかえって間延びするとの警戒感も流れている」。

日米交渉の終結は近い。5月の安倍訪米までに、日米合意、6月までにTPA成立、TPPの今秋合意のシナリオである。オバマ大統領のレガシ-造りに共和党執行部が力を貸すことを決断したのだから、シナリオ通りになると思うが。

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