2014年12月22日 毎日「金言」に、西川恵・客員編集委員が「最右翼に振れぬ日本」

毎日の「金言」に、西川恵・客員編集委員が「最右翼に振れぬ日本」を書いている。

「今回の総選挙では共産党が批判勢力として躍進(8から21議席)したが、これは『自民党より右』を標ぼうした次世代の党の壊滅的敗北(20から2議席)とセットで見るべきだろう。

民主党など主要野党が十分な反自民の受け皿となれないなか、最左翼の共産党の伸びは予想された。しかし最右翼の次世代の党にも私は注目していた。日本社会の右シフトが言われるなか、自民党より右が確固とした一塊の政党として、民族主義的な過激な主張を掲げて選挙を争う初のケース。加えて欧州諸国では左翼に代わり極右政党が政権への批判・不満層の受け皿になっている事実がある。

欧州では共産党は一部の国で細々と続くが、多くが解党・分裂した。かつての左翼支持の労働者、若者らはそうした左翼に幻滅し、保守政党を跳び越えて極右政党に投票している。5月の欧州議会選挙で、英、仏、デンマークの極右政党が国内第1党になったことは記憶に新しい。

しかし総選挙で次世代の党から当選したのは長い国会議員歴をもつ平沼赳夫党首と園田博之氏の2人のみだった。これは一つに、有権者の常識的な健全さが示された結果と思われる。選挙中、同党は『生活保護で外国人は日本国民の8倍』という不正確で扇動的な広報ビデオをネットで流し、差別的なヘイトスピーチを口にする在特会の幹部も同党支持を表明した。こうしたことへの有権者の拒否だ。

二つ目に、自民党の安倍政権自体が右寄りで、同党より右に政党の存在空間を与えなかった。欧州の場合、極右政党が保守党の地盤を侵食し、保守党は極右政党の主張(移民への厳しい措置など)の一部を取り入れることで支持奪回に懸命だ。しかし自民党は次世代の党が敗北したため、より右の世論に大きな考慮を払う必要がなくなった。

一方、共産党は批判・不満の受け皿としての有効さを改めて示した。ただ今後、同党はどのように支持の地平を広げていくのだろうか。さもなければ政権に対する不満が強い時は伸び、そうでない時は縮むという之までのパターンを繰り返すことになる。
社民党は風前のともしびで左翼の政治空間に大きな空洞が生まれている。ここを共産党が埋め、日本の政治に渦を作り出せるかどうかは、同党がいまだ残るドグマ(教条的な理論)を払拭し、市民政党に脱皮できるかどうかにかかっている。左翼に失望した票が振り子のように極右政党に振れる欧州を知っておくべきだ」。

共産党の躍進(8→21)と次世代の党の大敗(20→2)はセットであるは、正論である。政権批判の受け皿として共産党は伸びたが、次世代の党は受け皿となりえなかったのである。民意は最左翼は受け入れたが、最右翼にNOを突きつけたのである。欧州と真逆である。日本の容共的風潮故にである

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