2014年3月24日 朝日「検証安倍政権」 「8%消費税、首相正念場」「アベノミクスは株価で評価」
「アベノミクスは株価で評価」
朝日の「検証安倍政権」に「8%消費税、首相正念場」「アベノミクスは株価で評価」が書かれている。
「消費税率が4月1日、5%から8%に上がる。安倍政権は5・5兆円の経済対策で備えるが、17年ぶりの増税を乗り切れるかどうか見通せない。安倍晋三首相は年末には、10%にさらに増税するか決断を迫られる。首相の政権運営は第2次政権発足後、最も難しい局面に入っていく。
東日本大震災からちょうど3年が経った今月11日夕、首相官邸の会議室。安倍首相(59)のもとに、麻生太郎財務相(73)、菅義偉官房長官(65)、甘利明経済再生相(64)ら閣僚が集まった。4月の消費増税で景気が減速した後、どう反転させるのか、をめぐり約1時間、議論した。
企業が国と地方に納める法人税の引き下げや原発再稼働、外国人労働力の活用……。閣僚が自由に意見を交わす場にしたいと官僚は同席させず、主に聞き役に回っていた首相が切り出した。『アベノミクスは株価で評価されるということが分かりやすい半面、下がった時も分かりやすい』。株高で経済再生を印象づけたアベノミクスの「原点」を確認し、何としても景気を悪化させてはならない――。出席者は、そんな首相の強い意思を感じた。
会議が開かれた3月半ば、東京株式市場で外国人投資家の売り注文が殺到した。売り越し額は緊迫するウクライナ情勢を背景に、世界的に株価が暴落した1987年のブラックマンデー以来の規模になった。『来年から取り組むべきだ』。菅氏は19日、国際的に高い水準にある法人税の引き下げ時期にまで踏み込んだが、翌日の日経平均株価は200円超下落した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長(57)は『市場関係者の目には、首相は安全保障政策ばかりに力を入れているように映っている』と解説する。世論の賛否が割れる安保政策で政権の体力をすり減らせば、法人減税に難色を示す自民党の財政再建派や財務省の反対に屈するのではないか、と投資家が疑心暗鬼になっているというのだ。
景気減速の黄信号もちらつき、消費者心理を示す景気の先行指標は2012年末の政権発足時の水準を下回った。政権幹部は『4月の増税で経済も内閣支持率も落ちるだろう。致命的な傷にならないようにしないといけない』と気をもむ。
夏にかけ、集団的自衛権の行使容認に向けた議論が大詰めを迎える。堅調な経済を支えに持論の政策を実現させるのが首相の基本戦略だが、景気が失速すれば、今後のスケジュールも描きにくくなる。首相は最近、勝負どころを夏と見据え、周囲にこう漏らした。『4~6月は経済が悪くなる。7~9月にどれだけ上げられるかだ』」。
安倍首相の言う「アベノミクスは、株価で評価されるということが分かりやすい半面、下がった時も分かりやすい」は、正論である。今、アベノミクスは正念場を迎えている。今年に入って3カ月、円高・株安基調が続き、下落率18%となり、20日現在、日経平均株価は、1万4224円で、昨年12月30日の年初来高値1万6320円より2100円も下落し、1万4000円割れ目前である。
問題は、市場が、アベノミクスの第1の矢として日銀の追加緩和を、第3の矢として、法人実効税率の引き下げを督促していることである。この督促に応えられるかに、アベノミクスの成否がかかっている。黒田日銀総裁と安倍首相の覚悟の決断いかんである。