2024年9月5日 告発のゆくえ

兵庫県の幹部職員が斎藤知事らを告発する文書を外部に送ったとの事案があり、告発した幹部職員はその後、懲戒処分され、それが原因であろうと読み取れる文書を残し自ら命を絶った。悲しく痛ましいことである。告発した幹部職員は公益通報の概念に則り、県庁内部では潰されると感じ、やむにやまれぬ思いで報道機関に通報したのであろう。

当該職員の懲戒処分を下す判断をした当時も複数の幹部職員から、公益通報者保護の観点から拙速な処分は待つようにとの意見が出ていたらしい。
それを押し切ってまで処分を急いだのは何なのか、その判断に当事者である知事の影響はあったのか、徹底した解明が必要であろう。
通報者が保護どころか、かけがえのない命まで失われている最悪の結果である。

通報者が告発した内容はパワハラや贈答品の受領、休日、深夜のチャットに於ける指示など多岐にわたる。今年3月に自身に対する通報内容を知った知事は調査を指示し、通報者が4月に県の公益通報窓口に届け出た後も特定者調査は続き翌月5月には停職3ヵ月の処分がされている。処分理由としてあげているのが、知事や一部幹部職員に対する誹謗中傷する文書内容であり、不適切であったとした。
知事は後に開かれた百条委員会の場でも「必要な手続きはしている、当時の処分は今も適切であったと思っている」と答弁している。知事が公の会見で当該通報者を「公務員として失格」と発言したことは今はどう思っているのであろうか。

公益通報者の立場は権力的には弱い場合が多いであろう、権力ある者の不都合な事案を通報する時に、この様なプレッシャーがかかれば自己保身もあるし、家族の生活を犠牲にしてまで、通報する者はいなくなるであろう。
それは県民にとって不利益につながる事でもある。
公益通報制度が創設された原点に立ち返り通報があった時点で、対象者から切り離して内容の真偽は確認するべきであり、結果が出るまでは通報者保護は徹底するべきである。また有権者は選挙で推薦してきた維新会派の今後動向も本質を見極めていくべきである。

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