2023年11月15日 G7 「人道的休止」
ロシアとウクライナの解決に向けて、様々に影響力を示してきた主要7ヵ国は、イスラエルとハマスの紛争に於いては、てずまり感がある。外相会議がおこなわれたがイスラエルを支援するアメリカをはじめ、イギリス、ドイツなども「戦闘の休止を支持する」に留まり出口戦略の限界がみえる。
アメリカのブリンケン国務長官もG7が団結してまとまった声を上げることが重要だと述べているが、イスラム組織の軍事衝突の対応は各国に温度差があり、まとまりを求めるには無理がありそうだ。G7各国の主張は以下である。
アメリカ「戦略的休止」をイスラエル、ネタニヤフ首相と協議、
カナダ「人道的休止及び休戦を支持」国連に独自の修正案提出
日本「一時的戦闘休止」国際人道法を含め国際法順守。
イギリス「一時的かつ範囲を絞った人道的休止」
ドイツ「イスラエルの自衛権を支持、人道的休止は賛成だが休戦には慎重」
イタリア「戦闘の休止に全面支持」
フランス「人道的休戦を支持」
各国とも国内事情の温度差の中、難しい選択を迫られているが10月18日の国連安全保障理事会ではアメリカが拒否権を行使して「戦闘を休止」を求める決議案が否決された。 それに対しロシアからは民間人が犠牲になり、その中には多数の子供が含まれている事実に、アメリカはダブルスタンダードであると批判している。アメリカ国内でも人質救出や人道的配慮を求める抗議活動があり、 アメリカ政権側も人道的支援の為の休止と多少変化はあるが、停戦は適切ではないとの意向は変わってない。
同27日、国連総会が「敵対行為の停止に繋がる人道的休戦」を求める決議案が採択された。アメリカ国内での停戦を求める世論も次期大統領選に臨むバイデン大統領にとって無視できない状況である。EU諸国も個別に歴史的事情を抱えながら、G7外相会議に於いては「ハマスによるテロ攻撃を非難し、イスラエルの自衛権を認めると共に、人道上の理由から戦闘の休止」を支持するとなった。この妥協案がG7コンセンサスの限界なのであろう。